ブラジルといえば、太陽が降り注ぐビーチ!多くの人がリオデジャネイロの有名なイパネマやコパカバーナを思い浮かべるでしょう。
もちろん、世界中から観光客が集まるこれらのビーチも素晴らしいですが、人気のあまり少し混雑していることも。せっかく地球の裏側まで来たのなら、もっと静かでゆったりとした時間を過ごしたいと思いませんか?
そんなあなたに心からおすすめしたいのが、リオデジャネイロ州にある「Ilha Grande(イーリャ・グランジ)」という島です。ポルトガル語で「大きな島」を意味するこの場所には、手つかずの自然と美しいビーチが広がり、本当のリゾート気分を静かに満喫できます。
2019年に世界遺産登録!手つかずの自然が残る楽園イーリャ・グランジ
イーリャ・グランジは、リオデジャネイロ州アングラ・ドス・レイス市に属する、面積約193平方キロメートルの緑豊かな島です。島の大部分は大西洋岸森林(マタ・アトランティカ)に覆われ、多様な生態系が息づいています。
参考情報 Ilha Grande – O Paraíso é Aqui (観光情報サイト・ポルトガル語)

島内には100を超えるビーチがあり、中心地のヴィラ・ド・アブラオンを除くと、ほとんど開発されておらず、車も走っていません。移動は基本的に徒歩かボート。この手つかずの自然こそがイーリャ・グランジ最大の魅力です。

その価値が認められ、2019年には近隣のパラチと共に「パラチとイーリャ・グランジの文化と生物多様性」としてユネスコ世界複合遺産に登録されました。かつて2015年にニューヨークの情報サイトThrillistが「世界の最も美しい、自然のままの島14選」に選んだことからも、その魅力がうかがえます。
この島には、なんと銀行の支店やATMがほとんどありません(設置されても不安定なことが多いです)。そのため、滞在に必要な現金(ブラジル・レアル)は、島へ渡る前に十分に用意しておく必要があります。一部のレストランやホテル、ツアー会社ではクレジットカードが使える場合もありますが、現金のみのお店も多いので注意が必要です。
なぜこれほど自然が残されているのか? それは、この島が19世紀にはハンセン病患者の隔離施設、その後1994年までは悪名高いカндиド・メンデス刑務所が置かれていたという歴史的背景があります。これにより大規模な開発が抑制され、結果的に豊かな自然が守られたのです。

現在、島は世界中からの旅行者やバックパッカーに人気のデスティネーションとなっており、中心地のヴィラ・ド・アブラオンには多くのポウサダ(民宿・小規模ホテル)やレストラン、ツアー会社が軒を連ねています。
島内には数多くのビーチがありますが、特におすすめなのは、ボートツアーで行くか、トレッキングでたどり着く少し離れたビーチです。例えば、「Lopes Mendes(ロペス・メンデス)」ビーチは、ブラジルで最も美しいビーチの一つとして常に名前が挙がります。人が少なく、真っ白な砂浜と静かな波を独り占めできるような贅沢な時間を過ごせるでしょう。
※ビーチでの注意点: 日中の砂浜は非常に熱くなることがあります。裸足で歩くのは辛い場合があるので、ビーチサンダルやマリンシューズがあると便利です。また、日差しが非常に強いため、高SPFの日焼け止め、帽子、サングラスは必須です。蚊などの虫もいるため、虫除けスプレーも忘れずに。

そして、昼間のビーチだけでなく、夜のイーリャ・グランジも格別です。街灯が少ないため、天気が良ければ息をのむほど美しい満天の星空を眺めることができます。南半球ならではの星座や、天の川を肉眼ではっきりと見られることも。波の音を聞きながら星空観賞なんて、最高の贅沢ですよね。
昼はビーチでのんびり過ごしたり、シュノーケリングやカヤックなどのマリンアクティビティ、緑豊かなトレイルをハイキング。夜は美味しいシーフードに舌鼓を打ち、満天の星空の下でリラックス。イーリャ・グランジでは、そんな理想的なリゾートタイムが待っています。

宿泊施設・ホテル:ポウサダからゲストハウスまで
イーリャ・グランジの宿泊施設のほとんどは、島の玄関口であるヴィラ・ド・アブラオンに集中しています。豪華なリゾートホテルというよりは、「Pousada(ポウサダ)」と呼ばれる民宿や小規模ホテル、ゲストハウスが中心です。アブラオンから少し離れた静かなビーチ沿いにも、数は少ないですがポウサダが存在します。
バックパッカー向けのドミトリーから、カップルや家族向けの個室、少しリッチな雰囲気のポウサダまで選択肢は様々。予約サイトのレビューなどを参考に、ご自身の予算やスタイルに合った宿を探してみてください。特にハイシーズン(年末年始、カーニバル、7月、祝日)は混み合うので、早めの予約をおすすめします。
Booking.com※Tip: Booking.comの地図検索で「イーリャ・グランジ」または「Vila do Abraão」を指定すると、宿泊施設の位置と料金を確認できます。
アクセス方法:リオまたはサンパウロから
イーリャ・グランジは、リオデジャネイロとサンパウロのほぼ中間に位置しています(リオ寄りの方が近いです)。どちらの都市からもアクセス可能ですが、まず本土の港町「Angra dos Reis(アングラ・ドス・レイス)」を目指し、そこから船で島へ渡るのが一般的です。
ステップ1:高速バスでアングラ・ドス・レイスへ
リオデジャネイロから
リオデジャネイロ市内中心部にある長距離バスターミナル「Rodoviária Novo Rio(ホドヴィアリア・ノヴォ・リオ)」から、アングラ・ドス・レイス行きのバスが頻繁に運行しています。所要時間は約3時間です。
主に「Costa Verde Transportes」というバス会社が運行しています。チケットはバスターミナルの窓口で購入できますが、事前にオンラインで購入・予約することも可能です。
バス会社HP Costa Verde Transportes
料金は片道 R$ 70 ~ R$ 90 程度(2024年6月現在、通常席の目安。曜日や時間帯、座席クラスにより変動)。ほぼ1時間おきにバスが出ているので便利ですが、アングラからの船の最終便に間に合うよう、時間に余裕を持って出発しましょう。
サンパウロから
サンパウロからは、主要バスターミナルの一つ「Terminal Tietê(チエテ・バスターミナル)」からアングラ・ドス・レイス行きのバスが出ています。所要時間は約7~8時間と長めです。夜行バスを利用するのも一つの手です。
主に「Reunidas Paulista」などのバス会社が運行しています。こちらもバスターミナル窓口またはオンラインでチケット購入が可能です。
※上記バス会社のサイトが動作しない場合、ClickBus や BuscaOnibus などのバスチケット比較・予約サイトで「São Paulo (Tietê)」から「Angra dos Reis」で検索することもできます。
料金は片道 R$ 150 ~ R$ 200 程度(2024年6月現在、通常席の目安。変動あり)。リオ発に比べて便数は少ない(1日数便)ため、事前の時刻確認と予約がより重要になります。アングラからの船の最終便の時間を考慮して計画を立てましょう。間に合わない場合はアングラ・ドス・レイスで一泊する必要があります。
ステップ2:船でイーリャ・グランジ(ヴィラ・ド・アブラオン)へ
アングラ・ドス・レイスのバスターミナルに着いたら、船が出発する港(主に Cais de Santa Luzia または Estação Santa Luzia と呼ばれるエリア)へ移動します。バスターミナルからは少し距離があるため、タクシーまたは市バスを利用するのが一般的です。タクシーなら「Barco para Ilha Grande(バルコ・パラ・イーリャ・グランジ)」と伝えれば分かってくれるでしょう。

アングラ・ドス・レイスからイーリャ・グランジ(ヴィラ・ド・アブラオン)へは、主に2種類の船があります。
- フェリー (Barca – CCR Barcas):
大型の公営フェリー。最も安価ですが、所要時間は約1時間30分と長め。運行本数も少ない(平日1便、週末・祝日1~2便程度)。
料金:片道 R$ 20~30 程度(目安)。
時刻表・料金:CCR Barcas公式サイト (Linha Angra dos Reis – Ilha Grande を確認) - 高速ボート (Flexboat / Escuna):
民間のツアー会社などが運行する比較的小型の高速ボート。所要時間は約30~50分と速い。運行本数もフェリーより多い。
料金:片道 R$ 80 ~ R$ 120 程度(目安、会社や時期により変動)。
予約・情報:港周辺には多くのツアー会社があり、現地でチケットを購入できます。事前予約を受け付けている会社もあります。例:Objetiva Tour, Ilha Grande Tours など (※これらは一例です)
※注意: 船の時刻、特に最終便の時間は季節や曜日によって変動します。必ず最新の情報を確認し、乗り遅れないように注意してください。天候によっては欠航する場合もあります。
時間はかかりますが安価なフェリーを選ぶか、料金は高いけれど速くて便数が多い高速ボートを選ぶか、ご自身のスケジュールと予算に合わせて選択しましょう。