黒人文化が色濃く残る世界遺産の街サルバドール。お腹も心も満たされる海の都市を全力で楽しもう。

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ブラジル北西部に位置するサルバドールは、初期においてヨーロッパ人らによる入植の中心地として栄え、ブラジルにおいては長らく首都であった歴史の古い街です。

奴隷やサトウキビ貿易が盛んだったこの土地には、アフリカ大陸から多くの奴隷が連れてこられたこともあり、今日においても黒人を中心とした生活が営まれています。

サンパウロやリオデジャネイロといった南部地域とは全く異なるこうした景色や文化が、国内外の多くの観光客を惹きつけており、日本人にも是非おすすめした観光地の一つです。

  

サルバドールの全体像

サルバドールは縦に長い半島の形をした都市です。

観光の中心地は西側にあり、ペロウリーニョと呼ばれる愛称を持つ地域がある旧市街(セントロ)になります。サルバドールの観光名所はほぼこの地域に収まっているため、宿泊施設も含めて観光の拠点はここに置くのが良いでしょう。

セントロから南北にそれぞれ観光名所が散在していますが、タクシーで20-30分ほどの距離、かつ1時間もいれば観光自体は終わるような施設となっています。

サルバドール旅行の旅行日数/宿泊場所

サルバドールそのものはタクシーで移動しきれる範囲の半島です。

主要な観光施設はペロウリーニョにほとんど集中しており、その他のエリアは3-4箇所も回ると外国人が味わうには十分です。

マニアックなエリアは限りなく広がりますが、一般的な観光であれば2泊3日もあれば十分だと思います。ビーチで一日ゆっくりする日を入れて余裕を持って4日といったところです。

また宿泊施設をどこにするか、ですが初めての方は旧市街地を、ブラジル人らしくビーチ中心のバカンスを楽しみたい方はビーチエリアがおすすめです。

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今回私が宿泊したのは若者のバックパッカーが多く集まる「GALERIA13」というホステル。ホステルは英語が通じて安い反面、やはり夜など少し騒がしいのが難点。20代前半くらいまでであれば十分にいいホテルだと思う。

旧市街(セントロ)の歩き方

旧市街における上町と下町。治安の変化に注意。

ガイドブックなどを見ていると旧市街(セントロ)には「上町」と「下町」があると記載されています。これが現地に行かないとわかりにくい上に、何に注意しなければ分かりにくいため簡単に解説します。

セントロにはエレベーター(Elevador)があります。

ご覧の通り、エレベーターは丘の上と下を垂直につないでおり、これを上町と下町と呼んでいます。

上町は観光の中心地となっており、ペロウリーニョはこの上町に位置しているのですが、上町と下町では治安に大きな違いがあり、以下の点に十分に注意するようにしてください。

  • 上町には多くの観光客がいる他、警官も各所に配置されているが、下町は人通りが一気に減り、廃墟と化したビルなどが多く、治安に問題がある。
  • 下町にある観光施設は、主な「中央市場」のみ。エレベーターを降りてすぐのところにあり、それ以外のところを歩かない(実際にBarra地区に向けて一人で歩いてみましたが、スラム街も近く、また人通りが本当に少ないです。強盗あったら終わりです)。
  • 上町と下町をつなぐ坂もあるが、ここも治安が悪いことで有名。上町と下町の移動には必ずエレベーターを利用すること。

ペロウリーニョ周辺の歩き方

ペロウリーニョを含む上町の観光エリアはざっくり以下の範囲です。

すべて徒歩圏内で行動が可能で、端から端まで歩いても20分程度ではないでしょうか。この中に観光スポットがひしめいており、また街そのものも世界遺産に登録されるほどの町並みであり、ただ散歩しているだけでも飽きることがありません。

街には警官が配置されており、治安の心配もほとんどありませんが、身の回りの荷物の取扱には十分に気を使ってください。またサルバドール特有の問題として以下の点にはご注意ください。

白いペイント集団に用心

エレベーターがあるトメ・ジ・ソウザ広場(Praça Tomé de Souza)に多くいる集団で、観光客に突然白いペイントを塗ってきます。

ペイント集団は自身も白いペイントをつけているため、結構目立ちます。自身が望まない限り、近づいてきても敬遠しましょう。

これは地元文化で、黒い肌に白い太陽などを描く習慣に基づいているのですが、笑顔で近いづいてきて、いかにもい親切な風にペイントをしてきます。

しかし、これ油断して許してしまうと、支払いを要求してくるようになっており、僕の時には10レアル(300円)も要求してきました。非常にしつこいため、最初から関わらないようにした方が無難です。

民族衣装の女性との記念写真は有料

ペロウリーニョ広場でも同じようなことがあります。

民族衣装に身を包んだ女性が声をかけて来て、一緒に写真を撮ろう!と声をかけて来ますが、同様に写真撮影の後に料金の請求がされます。謎に「私は市公認のスタッフよ!」とアピールしてきますが、問題は最初に有償だと伝えてこないことなのですが。

こちらの写真20レアル(600円)なり。高い。

サルバドールのビーチ

イタプアンビーチ( Praia de Itapua)

サルバドールは沿岸沿いはビーチが点在していますが、主に東部地域に人気ビーチが多くあります。

観光拠点となる旧市街地からはタクシーで30分~1時間程度の距離ですので、必ずしも遠いということはありません。

主要なビーチは以下の通り。

  • Praia do Forte
  • Flamengo Beach
  • Praia Farol da Barra
  • Praia do Porto da Barra
  • Stella Maris Beach
  • Praia de Itapua

今回出かけたPraia de Itapuaの場所はこちら。

知人に聞いても、サルバドールのビーチは綺麗なところは少ないようです。海が汚いということではなく、ブラジルには多くの非常に綺麗なビーチがあり、そうしたところに比べると見劣りするということで、泳ぐことに問題はありません。

適切な比較か分かりませんが、沖縄のビーチと江の島のビーチといったところでしょうか。

好きなパラソルを選んで、近くにいるスタッフに声をかけましょう。飲み物や食べ物のメニューもあり、帰る際に会計をします。ビーチによってはWi-Fiを用意しているところもあります。

なお、ビーチ周辺は日没後も賑わっていますが、ビーチ自体は閑散としますので、治安面にはご注意ください。

【注意】サルバドールの観光ガイド・ペレについて

サルバドールの旧市街地にはペレという観光ガイドがいます。

旧市街地周辺を散策していると日本語で声をかけてくる黒人がいればペレです。ペレの簡単なプロフィールは以下の通り。

  • 日本で15年以上在住経験
  • 関西弁も話せるほどに、日本語堪能
  • 日本語以外にスペイン語やフランス語なども堪能
  • 日本人女性との婚姻歴あり
  • カポエラの教師が本業

と、ある意味ハイスペックなガイドで、私もついつい気を許して一日ガイドとして雇ってみました。この時、70レアル/日で、悪くないレートかなと思っていましたが、以下の点に注意が必要です。

  • 移動に友人のタクシーを呼ぶが、これがツアー中ずっと貸し切り状態ですごい高い値段になる(メーター回りっぱなし)。
  • 勝手に他のツアー客も乗せているが、なぜかタクシー代はこちら持ち。
  • レストランに行くと彼の食事までおごることになる。特に一人旅行の場合、ムケッカなどの大皿料理は一人では食べきれず、彼の費用をだいぶ持っているのと同じことになる。
  • マリファナを嗜んでいます(ブラジルでも違法)。しかもマリファナによってテンションが高くなり、いきなり歌いだしたり、街中の人にやたら絡んだりと非常に面倒くさいことも多い。
  • 寄り道があまりに多く、また男性の場合、頼んでもいないのに売春宿に連れて行かれます。さらにそこかしこでビールを頼むためここでも出費がかさみます。

おそらく一日で300レアル~400レアルは使ったかと思います。

ペレは日本語で声をかけてくる他、サルバドールにはナオヤさんという太鼓奏者がいらっしゃり、ペレはナオヤさんの友達!といった近づき方をしてきます。つい気を許してしまいますが冷静に考えましょう。

基本的には無害ですが、上記のリスクを十分に認識の上、ガイドとして利用するかどうか考えましょう。

サルバドール観光に欠かせない観光施設7選

サルバドールはブラジル初期の首都として栄えた街ということもあり、主に歴史建造物や文化博物館が観光の中心になりますが、同時に街全体が世界遺産にも登録されており、ただ散歩しているだけでも街の文化に触れることができます。

旧市街(セントロ)

バジリカ大寺院(Catedral Basilica)

バジリカ大聖堂はサルバドールにおいて最も美しいと称されるカトリック系教会です。

1657年から5年にも及ぶ歳月をかけ建てられた、バロック様式とロココ様式を併せ持ったこの教会は、両脇には金で彩られた美しい宗教像、天井には荘厳な宗教絵と彫刻が施されており、ただ座っているだけで心が洗われる場所です。

このバジリカ大聖堂、クリスマスにはミサの様子がテレビで中継されるなど、多くの人に敬愛される教会でもあり、細部までゆっくりと観察して時間を楽しむことができます。

料金無料
営業時間8時30分~11時30分
13時30分~17時
※日曜休館
住所Largo Terreiro de Jesus, Pelourinho
その他

サンフランシスコ教会(Igreja e Convento de São Francisco)

バジリカ大聖堂に負けずとも劣らないサンフランシスコ大聖堂。

1723年に完成したこの教会は、「黄金の教会」とも称されるほどに、贅沢の極みを尽くしたポルトガル植民地時代の象徴の一つ。

上部に吊るされたシャンデリアは80kgの銀から生まれたものであり、バジリカ大聖堂と同様に非常に細かな彫刻建築、金で作られた葉と調和しています。

また聖堂に至るまでの中庭廊下に描かれた神話を元にした壁画も見どころの一つ。バロック様式の建物の中にいると中世ヨーロッパにいるような感覚にすらなります。

料金5レアル
営業時間月~土:9時~17時30分(水曜のみ17時)
日:10時~15時
住所Largo do Cruzeiro de São Francisco, S/N – Pelourinho
その他

ペロウリーニョ広場(Largo do Pelourinho)

料金無料
営業時間
住所Largo do Pelourinho – Comercio
その他

サルバドールが世界から着目を浴びた一つのきっかけがマイケル・ジャクソンの楽曲「They Don’t Care About Us」のPVに舞台となったこと。そして、このPVのメインとなったのがこのペロウリーニョ広場だったのです。

実際に現地へ行くとわかりますが、まさにここ!というところ。上記の写真の左側にもマイケル・ジャクソンの写真が飾られているのが見えると思います。

この広場では何があるというわけではありませんが、観光客が多く訪れることもあり、楽器の演奏がされていたり、民族衣装を着たおばさん達が記念撮影の生業に勤しんでいたりと活気が溢れた場所です。

なお、先述の通り、このおばさん達ニコニコしながら近づいてきますが、写真数枚で20レアル(約600円)を要求してきます。理解した上であれば問題ありませんが、トラブルの元になるので、値下げなどは事前に交渉してから利用しましょう。

メルカド・モデーロ:公設市場(Mercado Modelo)

ブラジルではどこの都市にも中央市場がありますが、やはりサルバドールのそれもかなり大きい施設となっています。

現在では野菜からお土産まで様々な商品が所狭しと販売されている市場ですが、1861年に建造当初はアフリカから輸入された奴隷の保管施設でした。オークションにかけられるまで、この施設で待機をしていたという歴史的にも意味の深い場所です。

ただ、その施設そのものは1986年に一部が火事により損壊したため、新たに同じ場所に再建築されたのが現在のメルカド・モデーロであり、全く同じものというわけではありませんが。

なお、メルカド・モデーロはエレベーターを降りたところからすぐのところにありますが、こちらも上述の通り、セントロの下町は治安が悪く、それ以外の周辺の場所には立ち入らないようにしましょう。

昼間でも人通りの少ない場所が少なくなく、危険です。

料金
営業時間月~土:9時~19時
日:9時~14時
住所Praça Visc. de Cayru, s/n – Comercio
その他

エレベーター降りて徒歩1分。

旧市街(セントロ)以外

サン・ジョアキン(Sao Joaquim)

メルカド・モデーロに比べると、さらにThe市場というのがサン・ジョアキン市場。

迷路のように入り組んだこの市場では、野菜から果物、鶏、ヤギなどの動物、日用品まで何でも売っています。セントロから少し離れたところにあり、メルカド・モデーロより地元民向けのマーケットになっていますが、よりディープな雰囲気を感じたいとう方にはおすすめです。

セントロからボン・フィン教会へ向かう途中にあり、海を楽しみながらのレストランで昼食を取ることもできますので、観光の途中に散策するのが良いと思います。

料金無料
営業時間6時~17時
住所Av. Eng. Oscar Pontes – Calçada
その他

ボン・フィン教会(Basílica do Senhor do Bonfim)

教会の柵に多くのリボンが巻き付けつけられたこの教会。

セントロから10km程度離れたこのボン・フィン教会は、別名「奇跡の教会」とも呼ばれ、ここで祈りを捧げれば、病気や怪我が治癒するということで有名なのです。

外に巻かれたリボンFitinhas do Bonfim(フィティーニャス・ド・ボンフィン)は、3つの願いと共に手首に巻くと、それが切れた時に願いがかなうとされており、ブラジルのサッカー選手の中にもこのリボンを手首に巻いている選手が少なくない。

なお、このリボンの色はブラジルの黒人密教カンドンブレの神々を表したもの。アフリカから由来した密教カンドンブレは、ポルトガル植民地の下で強制されたキリスト教の中で密かに信仰されてきたため、このようにキリスト教教会なのに、アフリカ由来の密教の影響を受けるという不思議な状況が発生しているのです。

料金無料
営業時間月曜日:9時~18時
火曜日~木曜日・土曜日:6時30分~18時30分
金曜日・日曜日:5時30分~18時30分
住所Largo do Bonfim, s/n – Bonfim
その他

バハ要塞(Forte de Santo António da Barra)

半島の南端にあるバハ地区の名所バハ要塞。

サルバドールの建造物の中でも最も古いものの一つで、1598年完成。

その名の通り、当初は軍事施設として建造されたが、今日ではその役目を終え、内部は海洋博物館として開放され、主に大航海時代に関する当時の道具や記録が公開されています。

この周辺はその他に観光施設などがありませんが、観光用のビーチがあったり、大型ショッピングセンターShopping Barraがあったりしますので、その他の目的も含めて訪問すると良いです。これだけのために移動するのは少し億劫かなと思います。

料金無料(バイーア海洋博物館は15レアル)
営業時間9時~18時
住所Forte de Santo Antônio da Barra – Largo do Farol da Barra, s/n – Barra
その他

サルバドールに来たら絶対に食べたいムケッカ。基本は2人以上で。

バイーア料理はブラジル2大料理の一つに数えられるほど、美味しさと独特の文化をベースとした特徴ある料理で有名です(もう一つはミナスジェライス料理)。

その中でも特に人々を惹きつけて止まないのが「ムケッカ」。

日本でもブラジル料理店が増えているものの、シュハスコやフェイジョアーダが定番であり、ムケッカを食べることのできるお店はかなり限られてるため、サルバドールに来たら必ず食べて欲しいバイーア料理です。

旧市街セントロの中心にあるレストラン「Ponto Vital Santo Amaro」
店名Ponto Vital Santo Amaro
予算120レアル~/2人
営業時間火曜日~土曜日:11時~22時
日曜日・祝日:11時~17時
月曜日:閉店
住所R. das Laranjeiras, 23 – Pelourinho, Salvador

エビや白身魚がふんだんに入ったムケッカは、海鮮シチューと呼ばれることもありますが、カレーに近い食欲そそる海鮮スープで、これをごはんの上に乗せて食べます。

頭に乗っている黄色いパウダーはファロファと呼ばれるマンジョカ芋を原料とした粉で、それ自体に味はあまり無いのですが、ソースと絡めて少しねっとりさせて食すとこれが本当に美味しいのです。

値段はレストランにより大きく異なる他、旧市街よりも海岸沿いなどの方が安い傾向にあります。旧市街で100レアル前後、海岸近くのレストランでは50レアルという破格のものもありました。

イタプアビーチ近くの公設市場にあるレストラン
店名ムニシパウ・デ・イタプアン市場(Mercado Municipal de Itapuã)
予算80レアル~/2人
営業時間不明(市場そのものは7時~22時)
住所Rua Genebaldo Figueredo – Itapuã, Salvador

アフリカ宗教が独自の発展を遂げた黒人密教カンドンブレ

さて、ここまでがサルバドールの標準的な観光といったところでしょうか。

しかし、さらにサルバドール文化を堪能したいという方におすすめしたいのが『カンドンブレ』と呼ばれる黒人密教。既に繰り返しているように、古くにサルバドールにはアフリカから多くの奴隷が連れてこられたわけですが、その時にアフリカの土着宗教もブラジルに伝来しました。

ただ、欧州列強による支配の中で、アフリカ宗教の信仰は禁止されていたため、黒人はキリスト教の信仰に偽装して、その信仰を続けてきたのです。この中で、本来のアフリカ由来の宗教とキリスト教、さらにその他にブラジルの文化や要素を取り入れながら独自に発展したのが、このカンドンブレと呼ばれる密教です。

今日においては、リオデジャネイロやサルバドールの一部の黒人、特に貧しい層に支持されているとされ、街の中心地ではなく、ファベーラ(スラム街)などに教会があります。

カンドンブレの詳細については以下の記事で別途解説しております。サルバドールを最大限に体験したいという方におすすめですが、ファベーラへの立ち入りには危険が伴うため、必ず現地のガイドなどと一緒に訪問してください。

サルバドールへの行き方

サルバドールは空路・陸路ともに利用が可能です。

ただし、多くの方は南部のサンパウロやリオデジャネイロから向かうと思います。陸路の場合、24時間以上バスに搭乗することとなり、肉体的にも精神的にも非常に厳しいものがあります。

原則としては飛行機で訪れることをおすすめします。

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