ブラジルにはどうしても危険な国というイメージが常につきまといます。
本当に「危険な国」という表現が適切であるかは別としても、現実として危険な状況に陥るリスクは日本よりも非常に高いです。周りの人々からも気をつけるように言われることが多々あります。
何に気をつけるように言われるかというと、生命に関わる被害というよりは、金銭的な被害に関することが多いです。特にスリと強盗。荷物の持ち方や歩き方など友人から本当によく注意されます。
生命の危機がないわけではありませんが、日本人被害のほとんどが金銭に関わるものだからですね。
もちろんこうした被害を完全に防ぐことはできません。しかし、可能な限り被害に合わないようにリスクを抑えることはできます。
どのようなことに気をつけるべきか、友人知人に教えられながら、僕が心がけている6つのルールをご紹介します。
原則0:大原則は強盗にあっても絶対に抵抗はしないこと
この記事で紹介する内容は、強盗やスリにあわないようにする、万が一被害にあってもダメージを抑えるためのものです。
しかし、時に強盗は金品のみならず、生命を脅かすこともあります。よくあるのは金品の要求を拒否した時に、強盗が逆上してしまい、殺人を犯してしまうパターンです。
そのため、金品を要求された場合には、決して抵抗はせず、まず相手の要求に素直に対応しましょう。
ただし、その被害を抑える事前防御策としてできることがあり、その方法についてはこの記事の後半で触れますので、参考にして下さい。
強盗やスリに狙われるリスクを減らすために
まず考えるべきことは、強盗やスリに出会わないようにすることです。当たり前のことですが、彼らに狙われなければ金銭を失うことはありません。
犯罪者の獲物にならないようにするために何ができるでしょうか。
原則1:ホテルスタッフなどに危険な地域を把握
まず最初に行うべきは、危険な地域に立ち入らないということ。
これだけ聞くと当然のことのように思われますが、実際問題としてブラジルにおいて、これは非常に難しいことです。
とても有名な繁華街を歩いていたら、数ブロック先は柄の悪い人たちが多いエリアということがよくあります。
住宅街を歩いていても、道を一つ隔てたらとても危ない地域だったということも珍しくありません。
ホテルのスタッフに事前に地図で確認したり、ホステルであればブラジル人のルームメイトと出歩くとこの問題を多少なりとも回避できます。
最近、高級ホテル前などで日本人が電撃強盗に襲われる被害が非常に多くなっています。タクシーやハイヤーで到着後は速やかにホテル内に入るように注意しましょう。
以下の動画は実際に襲われた時の様子です。
原則2:夜は一人で出歩かない
エリアを選択することと同様に、時間帯を選ぶことも重要です。
ブラジルでは銃撃戦がしょっちゅう発生します。それもどこか人里離れた場所というわけではありません。ちょっとした繁華街で銃撃戦を伴う小競り合いがあります。
先日あった話では、日系人街として有名なリベルダージで銀行から出てきた所を狙ったギャングが一般人を襲い、近くにいた警官がすぐに駆けつけた所、そこで銃撃戦が始まったということがありました。
お昼だから発生しないということではありませんが、やはりこうした事件は夜に多く発生しているものです。
自分が何もしていなくても、また自分が襲われなくても、こうした状況に巻き込まれるリスクがあることを十分に意識しましょう。
原則3:リュックなどは前に抱えて持つ
犯罪者のターゲットにならないためには隙を見せないことも重要です。
油断している様子はすぐに見破られ、「あいつなら盗めそうだな」と思われたが最期、あっという間にスリ被害にあったり、裏道に入った瞬間に強盗にあうといったことが想定されます。
直接的な被害を受けないためにも、また犯罪者のターゲットにならないためにも、地下鉄やバスなどの公共機関はもちろん、人混みに入ったらすかさずカバンを前に持ちましょう。
肩掛けカバンやリュックサックも同様です。
スリというものはどこの国でもいつの時代でもあっという間に自分の荷物を盗んでいきます。
前にかけることでスリを行いにくく、また周りを警戒しているというメッセージを伝えることができます。
ちなみに現地に住むブラジル人でさえ同様の心がけを行っています。日本人はなおさら気をつけましょう。
なお、最近はこんな便利グッズもあります。

原則4:財布はカバンから出さないこと
財布については現地の友人に何度も注意を受けました。
日本人の感覚だとつい財布からお金を出しますが、これも彼らに狙われる要因になります。
財布に入っている金額の多寡は関係なく、財布が見えただけでお金が入っていると思わせてしまうようです。日本人×財布=金と思われるわけです。
対処方法としては、食事やちょっとした買い物に必要なお金を裸でポケットに入れておき、財布はカバンの中に入れておきましょう。
被害にあう金額を小さくするために
とはいえ、強盗にあうときにはあいます。真っ昼間のレストランに強盗が入り、客の貴重品を全て奪って行ったという話を聞いたこともあります。
実際に強盗に会っても被害額が少なければショックも多少和らぎます。
これには2つしか方法は無いのではないでしょうか。
原則5:大金は持ち歩かないこと。でも少額過ぎてもダメ
強盗やスリは手持ちである金銭を狙うわけですから、所持金額が小さければ小さいほどに被害が小さいのは当然です。しかし、一方であまりにもお金を持っていないと危険だと言われているのをご存知でしょうか。
例えば、強盗の場合、彼らは命がけで犯罪を行っています。人を襲ってまで金銭を得ようとするほどに追い詰められていますから。
にも関わらず、被害者が持っている金銭があまりにも少額だとどう思うでしょうか。引くに引けず、頭に血が上り、最悪のケースでは相手を殺すということは想像に難くありません。
無論、いくらであれば満足するか分かりませんので、いくらかカバンの中に入れておくなどして、相手が中々納得して去ってくれない場合に差し出すのも手かもしれません。
原則6:お金の分散は必須。便利グッズの活用がオススメ
両替直後などで大金を持ち歩くときには必ず分散して管理しましょう。
上記のようなズボンの裏側に金具で取り付けられるグッズが非常に便利で、貴重品を汚さず、強盗やスリ被害にも合いにくくなります。
いつもここにほとんどのお金を入れて、ポケットの金額を少額にしています。
金具の固定もとても強力で、5年以上使用していますが、外れて落ちてしまうということは経験したことがありません。
「大丈夫だろう」ではなく、「危険な目にあうかもしれない」という心構えで
海外を歩きまわっているバックパッカーなどは「色々経験しているから大丈夫」と油断しがちです。
その経験を否定はしませんが、ブラジルでは30年以上住んでいて、色々と注意しているつもりで、危険な場所や時間帯を知っているつもりでも被害に合う人が多くいます。中にはこんな犯罪集団もいます。いかにスリが高度なテクニックを持っているか知れば考え方を改めるでしょう。

幸運なことに素直に応じればまず命まで奪われるような事態になることは少ないですが、油断をしているとせっかくの旅も台無しになってしまいます。
危険な目に合っても最小限の被害を!という心がけを持ちながら、思いっきり楽しみましょう!
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