リオデジャネイロオリンピック前に話題になったジカ熱。
一時期大きな話題になりましたが、日本国内のニュースサイトなどで取り上げられることはほとんどなくなりましたが、南米では未だに流行しているのが実情です。
私自身は医療従事者ではないので、独自の見解を提示することはできませんが、現在各公的機関等が出している情報をまとめて、ジカ熱について、そしてよく心配されている性行為による感染リスクについてまとめました。
ジカ熱とは
そもそもジカ熱とは何なのか。専門的な文章を読んでも何のことかよく分からないですが、厚生労働省のホームページには以下のように記載されています。
ジカウイルス感染症は、ジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症をいいます。
これはこれとしてどんどん次に行きましょう。
ジカ熱の症状。軽い場合と重い場合
一般的なジカ熱の症状
ジカ熱に感染したかどうか、どのようにして理解すれば良いのでしょうか。
まずは、厚労省によるジカ熱の一般的な症状。ほとんどの人はこの症状のみで終わります。
主として軽度の発熱、斑丘疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、疲労感、倦怠感、頭痛などを呈します。これらの症状は軽く、 2 ~ 7 日続いて治まります。血小板減少などが認められることもありますが、他の蚊媒介感染症であるデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
正直ジカウィルスそのもの症状はそこまで重いものではありません。
また、あまりに軽微であるために気づかない場合や、感染していてもそもそも発症しないこともあります。ほとんどの場合そこまで恐れる必要のある感染症ではありません。
ただし、以下の2つの症状を引き起こすことがあります。そしてこの2つがジカ熱がここまで騒がれている理由です。しかもジカ熱を治療する薬がまだないというのもパニックになる一因かもしれません。
小頭症-胎児の場合
胎児へは母体から感染することが確認されており、妊娠中の女性がジカ熱に感染すると胎児へさらに感染することが心配されます。
小頭症については、ほとんどの方がご存知だと思いますが、文字通り通常よりも頭部が小さい状態で生まれてくる、または出生後に頭の成長が止まってしまい、通常の大きさにまで成長しない症状のことを言います。
外的な問題だけではなく、脳内麻痺やてんかん、学習障害、難聴などの問題も引き起こすそうですが、現在のところ治療方法はありません。(厚生労働省検疫所)
ちなみに小頭症はジカ熱に限らず、母体のアルコール摂取や喫煙などによっても引き起こされますので、ご注意下さい。
ギラン・バレー症候群-成人の場合
さて、テレビでは小頭症ばかりが注目を浴びることが多いですが、成人であってもギラン・バレー症候群が発症する可能性があります。
ギランバレー症候群が発症すると、手足に力が入らなくなったり、顔に痺れが出るようになります。ひどい場合には、呼吸するための筋肉が麻痺することで、呼吸困難に陥ることもあるそうです。ただし、ほとんどの場合4週間ほどでピークを迎えた後、半年から1年ほどかけて治療が可能な病気になります。(慶應義塾大学病院)
いつ発症して、いつまで注意が必要なのか
発症期間は2日から7日。だけど潜伏期間に注意
通常の感染症状であれば、2日から7日程度発症するということのようです。
ただし、ジカ熱には他の感染症と同じく「潜伏期間」があります。
ジカ熱の場合、潜伏期間は2日から12日とのこと。
例えば、潜伏期間12日を経て、その後7日間発症すれば感染から19日目に症状に苦しんでいる可能性もあります。
例え、帰国後数日間体調不良の様子が無いからといって、ジカ熱に感染していないと判断することは時期尚早というわけです。
また潜伏期間が12日だからといって、13日目まで体調が良くても予断は許されません。
そもそもの症状が非常に軽微であるため、発症していても自分が気づいていない可能性もあるのです。
いつまで感染の可能性を疑う必要があるのか
感染期間、潜伏期間で説明したように、ジカ熱に感染していることに気づかない場合が多くあります。
ニュース等でも報道の通り、ジカ熱は性行為により感染することが危惧されています。
そのため、帰国後も発症していないからと十分な期間を経ずに性行為を行うと、他人にウィルスを感染させてしまう可能性があります。
では、いつ頃まで注意が必要なのでしょうか。ブラジルなどジカ熱発生地域に住んでいる、または当該地域から帰国した人々に対して、WHO(世界保健機関)は以下のアナウンスをしています。(2016年6月7日現在の資料)
パートナーが妊娠している場合
- コンドームを装着したより安全な性行為をする
- もしくは、妊娠中の性行為はすべて控える
妊娠を望む場合(コンドームを装着しない場合)
- 最低8週間の期間を置いた後に性行為を行う
- もし男性にジカ熱の発症が見られた場合は、6ヶ月以上は性行為を控える
つまり、もしジカ熱の発症が見られない場合でも、8週間は十分な注意が必要であり、ジカ熱を発症したことがある場合は、6ヶ月以上は性行為を控えるように忠告しています。
ジカ熱の発症については、くどいようですが気づかないうちに発症していることもありますので、保守的に見れば帰国後6ヶ月間はコンドームを装着しない性行為は控えるのがベストです。
ブラジルでのジカ熱感染の危険性は?
私が住んでいるサンパウロはそこまで蚊が多い州ではないようです。
ブラジル人の友人に「ここはあまり蚊がいないよね。網戸とか使わないのね」と言ったら「リオデジャネイロとか海岸沿いの方は蚊がすごいけど、こっちはそうでもないよ」とのこと。
それで州別の感染率等を調べようと思ったんですが、語学力不足で以下の英語記事にいくらかの数字がありました。
Rio Has Three Times More Zika Cases Than Any Other State in Brazil
こちらの記事にはこんな事が書いてあります。
2016年1月から3月の初めての国内全体の統計が発表され、それによるとジカ熱の感染が疑われる事例90,000件のうち、約4分の1がリオデジャネイロ州内で発生している。
感染率でいうと、住民10万人あたり157人であり、これは全国平均のおよそ3倍。
概ね友人たちの証言は間違っていないようです。
というわけで、数字だけで言えば、ブラジルの中でもリオデジャネイロが感染率は高いです。
しかしながら、リオデジャネイロを擁護すると記事には以下のような記載もあります。
リオデジャネイロの疑わしい事例約26,000件のうち、小頭症が確認されたのはわずかに42件であり、北東部のペルナンブーコ州の334件に比べると低い
とりあえず自己防衛はしっかりしましょう
リオデジャネイロが感染者数において大きなシェアを占めているものの、その他の地域でもジカ熱発症の危険はあります。
ブラジルに来る際には、十分な予防を心がける必要があると思われます。(来ても大丈夫とも危ないとも言えません。)
自己防衛策としては大きく次の2つだと思います。
- ジカ熱の感染そのものを防ぐためにすること
- パートナーへの二次感染を防ぐためにすること
ジカ熱の感染そのものを防ぐためにすること
・虫除け剤の使用(日焼け止め併用の際は、日焼け止めの上に塗る)
・蚊取り線香の使用
・長袖、長シャツ
・網戸、エアコン等が完備されていて、蚊を駆除しているホテルに宿泊する
パートナーへの二次感染を防ぐためにすること
意識があるかどうかに関わらず、感染しているリスクは常にあり、パートナーへの二次感染については常に気を配りましょう。
- 妊娠中のパートナーとの性行為は控える(我慢出来ない場合はコンドーム着用)。
- コンドームを使用しないパートナーとの性行為は帰国後8週間は控える。
- ジカ熱の症状が発症した場合は半年間控える。
もしコンドームなしで性行為をして、心配な場合は
哲学的、宗教的なことは置いておいて、WHO(世界保健機関)は以下の声明を出しています。
- コンドームを付けずに性行為をして、ジカウィルスの影響が心配で妊娠を望まない女性に対して、国は緊急避妊薬を使えるようにしておくこと
感染が疑われる場合は
もし自分がジカ熱を発症したのではという時には速やかに以下の連絡先に連絡しましょう。
早急に確認することで、不要なパニックを防ぐことができますし、その他の症状を引き起こした場合に早めの処置が可能になるでしょう。(参考:厚生労働省検疫所)
現地滞在中
・現地の医療機関にかかる
日本帰国後
・空港検疫所に相談
・近くの医療機関もしくは検疫所に相談
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