サンパウロの街なかを歩いていると気づくことがあります。
それは爪を噛む人がとても多いということです。
街なかでも、電車の中で目の前に人がいても、もっと驚くのはスーパーや定食屋のレジ係が爪を噛みながら接客していたりすることがるのです。1回ではなく、本当によく見かけます。男女問わずです。
日本だと「爪を噛む=マナーが悪い」という教育を受けたように思います。子供の時は確かに爪を噛んだ記憶が無きにしもあらずといったところですが、職場でも電車の中でもごくたまに見かける程度でしょう。
「爪を噛む」という行為がなんとなくイメージさせるのは、ストレスとか神経質といった言葉だと思うのですが、世界一幸せそうなブラジル人に限ってそんなことあるんでしょうか。
ちょっと調べてみました。
爪を噛むという行為の意味
爪を噛む人はどういう性格なのか、何か特別な生理学的な意味があるのか、爪を噛んでしまう理由を調べてみました。
医学的な基本スタンス
Naverまとめなどには、ストレスだ!愛情表現だ!とそれっぽい話が適当にまとめられていますが、こういうサイトは元ネタが知恵袋だったり、根拠の無いまとめサイトだったりして、ちょっと信用ならんのです。
そんなわけで、基本のキホンである医学的な記述を探してみたところ、この行為には病名が付いていることが分かりました。
咬爪症(こうそうしょう)とは、爪を噛む癖のことをいい、かなり多くの人に見られる症状です。症状については、本人が爪を噛んでしまうため爪の先がギザギザに荒れてしまっていたり、爪の表面がぼこぼこしている状態です。大人になっても爪を噛んでいる場合は、ストレスを解消するために爪を噛んでいるケースがあるため、心療内科での治療が必要です。
参考 病院検索ホスピタ
少し古い論文ですが、カナダでは7歳から10歳の子供の28%から33%が爪を噛む習慣を持っているようです。日本では比較的教育が厳しいからかそこまで見かけませんが、やはり子供の修正の一つのようです。
ストレスも原因のようですが、その他に家族に爪を噛む習慣を持つ人がいるとそれを真似て習慣化したり、幼少期のおしゃぶりの習慣の延長線上の行為、さらには爪の形を自分で整えようとする行為だったりもするようで、全てがストレスの起因とはいえなさそうです。
完璧主義者に多く見られる傾向
ストレスが原因となっている場合、爪を噛むという行為にまで発展するのは当然全員ではありません。
昨年モントリオールの研究機関が発表した論文によれば、爪を噛む修正は完璧主義者が多いそうです。高い期待水準を持っている一方で、現実が自分の思う方向に進まないことで、強いストレスが発生します。
しかし、完璧主義者がその目標に向かう上で、爪を噛むという行為自体はポジティブな働きをするようです。
爪を噛むことによって気持ちを落ち着けて、集中力を高めてくれる。もちろんその弊害を考えると単純に受け入れていい癖ではないものの、ダメなものはダメ!という理屈で押さえつけるとさらにストレスが高まってしまいかねないです。
ブラジル人は何にストレスを感じているの?
少し固い話を先行させてしまいましたが、こんな爪を噛むという習慣を持つブラジル人は果たして何にストレスを感じているのか、考えてみました。
生活全般に対して不満を持っている
これまた別の論文ですが、爪を噛む習慣を持つ人はQOL(Quality Of Lif)が低いという論文があります。
こういう言い方は適切ではないですが、レジ係は所得の低い職業に分類されますし、電車の中で爪を噛んでいる人もあまり金銭的に恵まれているようではありません。
もしくは金銭的なこと以外でストレスを抱えている可能性もあります。というのも、クレジットカードの処理手続き中など待機時間に爪を噛んでいるブラジル人が多いように思うのです。
人間には寛容でも機械には短期なようにも思います。
サッカーの試合結果にストレスを感じている
brazilian nail bite で検索した結果がこちら。
ブラジル人は爪を噛む習慣が多いという記事があるかとおもいきや、ほとんどがサッカーの試合に関する記事ばかり。nail-bitingではらはらさせるという意味なのですが、サッカー大国ならではというか、もしかしたら今日の試合のことを考えているのかもしれません。
お腹が減っている!?
ちょうど近くにいたブラジル人の友人に聞いてみました。
「ブラジル人ってなんで爪を噛む人が多いんだい?」
「それは皆おなかがへっているんだよ!」
これがブラジル人の思考です。
で、ジョークの後に真面目な解説をしてくれるのもブラジル人。
いわく「ブラジルって言う国は500年の歴史しかないんだ。純粋なブラジル人というのはインディアンだけなんだぞ。あとはみんな移民だ。世界中の習慣が持ち込まれているんだ。なんで爪を噛むのかなんて知らん!」
真面目に考えるだけ無駄だったようです。
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