ちょっと感動しています。Googleさん本当にすごい。
ブラジルが危険な国だと思われている理由の一つにファベーラ(貧困街・スラム街)の存在があります。
長い間警察すら足を踏み入れることのできなかったファベーラもあったり、街なかでは弾丸が飛ぶことも珍しくないファベーラ。と、そういうイメージが跋扈しているかもしれませんが、最近は警察が注力していくつかのファベーラを制圧して以前に比べると安全になりつつあると言われています。
ファベーラに住んでいる人全員が危険というわけではありません。ただ経済的な事情でそこで生活をせざるを得ない人々がほとんどです。ブラジルに限ったことではありませんが、世界中のいわゆる貧困街では日々ごくごくありふれた時間が流れています。
最近はファベーラを回るツアーなども開催されていて、観光客が足を踏み入れる機会も多くなっており、身近になりつつあるものの、ファベーラの世界をゆっくりと楽しむことはあまりできません。また観光客が現地の人々とゆっくり交流することもハードルが高いでしょう。
そんなハードルをいとも簡単に超えさせてくれるのが我らがGoogle。Googleがオンラインで体験させてくれる素晴らしいツアー、そしてその背景にあるGoogleのファベーラに対する素晴らしい姿勢をご紹介します。
自宅にいながらファベーラをドライブ、そこで生きる希望の光を感じられるツアー
まずご紹介したいのがGoogleがオンライン上で提供しているBeyod the Map(地図の向こう側)というプログラム。
これは「ファベーラって怖い!」という先入観から離れてそこで暮らす人々や実際の生活に目を向けようという取り組みで、ツアー体験を模したプログラムになっています。
最初にバイクに乗ってファベーラを一気に駆け上がって行きます。これが面白くて、動画なのですがストリートビューのように周りの風景を360度見渡せるようになっており、実際にバイクの後部座席に座っているかのような感覚で街なかを概観していきます。
ツアーはリオデジャネイロのファベーラから全部で8つのスポットを回っていきます。それぞれのスポットに住む人にスポットをあて、おぞましいファベーラとは大きくかけ離れた希望と楽しさにあふれる人々の人生ストーリーを聞くことができます。
またストーリーの合間にはリオデジャネイロの観光名所なども出てきて、少しばかりの息抜きをしながら人々の深い話が進んでいきます。
ツアーはすべて英語で構成されておりますが、現地の人々のインタビューなどは字幕も表示されますので英語が苦手な日本人でも結構楽しめる内容になっているとおもいます。何よりも1080pxのハイビジョンで映しだされる映像はかなり見応えがあります。
住所を持たない人々をGooglemapにプロットしていく意味
このツアーの名前が「Beyond the Map」となっているように、このツアーの裏にはあるプロジェクトがありました。
それはファベーラの地図をつくるということ。
ファベーラはもともと行政がつくった街ではなく、市民達が集まってつくられたスラム街です。そのため1件1件に明確な住所がないのです。
とはいえ、ファベーラにはそのコミュニティを支える経済圏があり、レストランも散髪屋も小売店もあります。ただ住所がないだけです。そして地図がない。
私たちの生活を振り返ってみると、今の時代Googlemapに代表されるオンラインマップサービスを利用して我々は近くのレストランを見つけたり、会社の事務所へ訪れたりするわけで、住所がないということは商売のポテンシャルの広がりが抑えられるということを意味しています。
GoogleはNGO団体とともに数年かけていくつかのファベーラの商店などの情報をGooglemapにマッピングしてきました。当初はファベーラの人々に理解されなかったりしたものを一つ一つ説明していきながら許可をとってきたそうです。
そうしてできあがった地図によって、現実に彼らの存在が地図上に認められただけでなく、彼ら自身にとっても存在感を得られた貴重な経験がそこにはあったようです。
Googlemapはとてもお世話になっているサービスですが、これが自分たちの存在を証明し、そしてある種の自我を生み出すものになっていたとは思いもよらず、ついほろりとしてしまったのでした。
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