これは東京オリンピックでも是非同様の取り組みをお願いして欲しい。
開会式が世界の予想を超えた大成功を収めたリオデジャネイロ・オリンピック。コンドームやらトイレの不調やらで何かと話題の選手村ですが、今ある取り組みが世界中から注目を浴びています。
選手村で余った食材を再利用して、三星シェフが貧しい人たちのために料理をつくる
プロジェクトのオーナーシェフはイタリアの有名シェフマッシモ・ボットゥーラ(Massimo Bottura)氏。彼がイタリアで開いているレストランはお馴染みのミシュランガイドで三ツ星を獲得している高級レストラン。通常であれば彼のつくる料理は数万円はするのです。
そのボットゥーラ氏のつくる料理がリオデジャネイロの貧しい人々に無償で提供されるというからすごい。
仕組みは単純で、オリンピック選手村や五輪会場であまった食材をボットゥーラ氏がオープンするRefettorio Gastromotivaが引き受け、ボットゥーラ氏がボランティアで調理をしてくれるというもの。
さらにリオデジャネイロ政府からレストランのための土地を無償で借り受けるため、運営コストも大幅に落とされます。また内装や家具もブラジル人の有名デザイナー達が手掛けるため、料理のみならず雰囲気も含めて高級料理店そのもの体験ができます。
対象となるのは貧困街で活動する慈善団体が招待した市民に限られるそうで、一般の人々が無料でサービスを楽しむことはもちろんできないものの、オリンピック終了後は通常のレストランとして運営されるそうで、ちょっと行ってみたいレストランです。
古典的な活動ではあるけど、貧しい人々も食を楽しむ機会は意外と少ない
こうした社会であまった食材を利用して、貧しい人々に再配分しようという活動は特段新しいものでありません。
日本で代表的なものではNPO団体セカンドハーベストがあります。
企業であまった食品を中心に回収を行い、ホームレス生活を送る人々や児童養護施設などの食事として活用しています。企業側としても処分費用などを考慮すれば、それを無償で引き取ってくれることはコスト面で助かることですから、Win-Winの関係を築けて、なおかつ広くはCO2の削減にも貢献する面白い取り組みです。
提携企業にはニチレイやネスレ日本といった日本を代表する食品会社が名を連ねており、ここまで来るのには大変な苦労があったものと推測します。
一方で、こうした食品は「あまり物」として意識されてしまうと、せっかくの食事が少し寂しい物になってしまうことになりかねません。
「栄養摂取」よりも「食を楽しむ」という機会をつくる意味でも、今回のような取り組みが日本でもたまにはあってもいいのではないかと思います。
シェフがメニューを考案してボランティアの皆で作ったりすれば原価は何も変わらないわけですから。
冒頭のボットゥーラ氏はこんなことを言っています。
有名になったら見捨てられている人たちに光をあてると母に約束していた。そして今、自分が受けた恩恵を世界にお返しする時が来たのです
日本にもこんな男気のあるシェフがいると思いますが、このニュースを聞いたどなたか手を挙げてくれないものでしょうか。
参考 AFP
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