ブラジルの刑務所で進む同性愛者達を暴力から守る取り組みが素晴らしい

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ここ数年日本においてもLGBTという言葉が一気に普及して、社会がどのように向き合うべきか議論される機会が一気に増えたように思います。

人口の1割弱とも言われているLGBTと呼ばれる人々が、「男女」の枠に囚われずに適切な社会生活を送るために何が必要で、どのような対応が求められるのか、少しずつではありつつも実現していることもあると認識しています。

ここブラジルでもLGBTの存在感は大きなものがあり、ぱっと見は日本よりもずっとオープンな国であると感じます。サンパウロなどの大都市であれば、男性同士が手をつないでいる風景を見ることも珍しくありません。

しかしながら、他の国とどうように完全に社会に受け入れられているわけではありません。

元々はカトリックの国柄もあり、こうした文化に否定的な人も相応に少なくないそうです。LGBTだからといって即座に普段の生活で危険な目に合うというわけではありませんが、刑務所という密室空間においては状況が異なるようです。

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ブラジルに新設されたGBT専用刑務所

ブラジル北東部に位置するセアラ州が今年新たに設置した刑務所はGBT専用の施設。女性ではなく、ひとまずは男性専用ということで、L(レズビアン)が抜けて、GBT専用。

200人収容で、既に150人の受刑者がこの中で生活を送っています。

この刑務所は、同性愛者の人々を刑務所内での暴力や非人道的な扱いから守るために作られました。一般的に同性愛者は刑務所内で孤立したり、暴力を受けやすいことから、今までにもブラジルではLGBTの受刑者を隔離するなどの措置を講じられてきました。

ブラジル法務省の2014年データによれば15%の刑務所が高齢者やLGBT専用の施設を用意しているとのことですが、このように専用の刑務所が作られるのは初めてのようです。

刑務所内では、肉体的、性的な暴力行為から隔離されるだけではなく、長髪を認められたり、女性用の名前を利用することが認められており、”人間的な生活”を送ることができるようにとの配慮がされています。

当局者によれば

Thus, our experience can be called innovative, and it is not large yet — only 150 people from 17,000 GBT in our state. We are trying to fight for a more humane prison system.

我々の取り組みは画期的であると言われているが、我が州にいる17,000人のLGBT人口に対して150人とまだ規模は大きくない。彼らの人権に配慮した刑務所の拡充に向けてまだまだ戦うつもりだ。

参考 Brazil Fights for LGBT Inmates’ Safety, Opens First Gay Prison

とのこと。決して夢見がちな話を考えているわけではなく、受刑者に必要な人権を守るために重要なことであるという切実な問題意識の上に進められているようです。

日本の刑務所におけるLGBT受刑者の処遇

一方で日本におけるLGBT受刑者の処遇はどのようなものかと調べてみたところ以下のような記事を発見しました。

LGBTに厳しい塀の向こう側 個々の事情に対応進まぬ拘置所・刑務所(産経ニュース)

この記事では2つの例が示されており、既に性転換をした性同一受刑者が刑務所内でのホルモン注射を希望したところ拒否された事例、また同性愛関連書籍の購入申請が拒否された事例が記載されています。

ホルモン注射がないことで容姿が男性化していくことは、人格の根本に関わる問題であり、また成人向け書籍一般が許容されている中で、同性愛書籍のみが拒否されるというのはおかしい、といった論調のようです。

ブラジルの話に比べると少し高度な話のように思われますが、問題はこのような状況に十分に対応できるほどのノウハウや姿勢がまだ日本の刑務所にはないということのようです。

同省(法務省)によると、全国の刑務所や拘置所で性同一性障害と診断されたり、その傾向があると認められたりしたのは27年6月時点で約50人に過ぎず、同省担当者も「対処ノウハウが蓄積されているとは言い難い。原則的には個別の事情に応じて判断している」という。

日本には約67,000人の受刑者(2012年末)がいる中で、50人というのは流石に少なすぎるでしょう。もちろん本人の意思表示が前提というのもありますが、その前提には「意思表示をしても安心できる」状況が必要です。

既に独居房などで生活できるような措置は講じられているようですが、その他でも集団生活がある中で、LGBTである旨を申告した場合に暴力やいじめを受けない仕組みはまだなさそうです。

とはいえ、日本はつい最近までLGBTであるというだけで芸人が笑いの対象になっていたわけで、LGBTに対する社会的な理解はまだまだ浅いのだと思います(かくいう僕もですが)。一部の市で同性婚が認められたり、学校で肉体的な性別に囚われない服装やトイレ利用が認められたり、塀の外でようやく理解が進んでいる日本ですから、塀の中にその文化が広がるまでにはもう少しかかるのかもしれません。

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