個人事業を運営しているお客さんにブラジルのメーカーのある楽器のパーツをブラジルで購入して発送してほしいという仕事の依頼があった。
最近個人の方からブラジルでしか買えない商品の代行購入と発送の問い合わせがたまにあるのだ。
比較的ニッチな分野ではありつつも、逆にブラジル関連のグッズは一部の愛好家には喉から手が出るほど欲しいものもあり、一方で各種手続きや言語の壁から代行を依頼されるのだ。
今回は楽器のパーツということであり、こうしたニーズとは少し異なるが、私が経営しているコンサルティング企業で受けることになったのだが、ブラジル関連の輸入ビジネスというのはまだまだ十分に商売になるなと思い、経験を整理してみた。
阿部俊哉
1988年早稲田大学卒業後、通算25年、日系メーカーにて中南米市場の営業とMarketing業務に従事。通算13年間ブラジルに駐在員として滞在。日系3社にてブラジル現地法人の新規立ち上げを行いビジネスを立ち上げる。現在、JB Crew Comercio LTDAの運営に従事する他、株式会社MIMO JAPANを設立、コンサルティング業務に従事。ブラジル、サンパウロ市在住。
MIMO JAPAN https://mimojapan.com/
商品探索から現地ベンダーとの契約まで
指定商品の仕入先を調べる。
今回、具体的に「Mercado Livre」で指定製品を購入して発送してほしいというのが元々の依頼であった。が、数量も少なくなかったので、メーカーから直接仕入れすれば、安く変えると思い、Googleで検索してメーカーに行きつき早速交渉開始。
メーカーとの交渉(ネゴシエーション)
今回の輸入は一時的なものではなく、今後も継続しそうなビジネスであった。
こうした背景から日本向けの代理店として取引したいと相談。物珍しい客と映ったのか、日本人ということで安心してくれたのか、難なく取引OKとなり、Mercado Livreの販売価格より40%安い代理店価格を適用してくれた。
この価格で契約を締結、現地販売店は40-50%もの粗利をとっていることを知った。
正式発注
請求書をもらい、即支払いをしたら、4日で到着。ブラジルにおけるビジネスでは遅延がつきものであり、こうした際に先方との交渉、プレッシャーをかける機会も少なくないが、今回はスムーズに進んだ。
また到着した商品を見てみると、梱包もしっかりしていた。きちんとした会社であることが、こういうことからわかり、継続的なビジネスへの不安も飛ぶ。
輸送手続きの流れ
出荷準備(出荷方法)
ブラジル国内で商品を受け取った後は日本への出荷業務が待っている。
日本のお客さん向けの輸送費と梱包費用込みの請求書を作るために、重量、容積を確認して、3社ほどの輸送業者に見積もり依頼するが、正式の輸出貨物だと日本着後の通関費用ならなんやらでコストが上がることが判明。
日本での通関も個人事業者だと難しい、通関会社に依頼しても高い手数料を取られるのがオチ。
国際宅配便であるクーリエは輸送費用がバカ高、日本円で5万円・・・結局、日本でのややこしい通関等がないこともあり、郵便にて発送するしかない。
Correio(郵便局)の国際航空貨物
知らなかったが、EMSがブラジルにもあることが判明、日本への出荷方法は航空貨物しかなく、海上輸送はないと言われた。日本からブラジルへは船便があり、急ぎでなければこれがコスト圧縮にそれなりに効果的なのであるが。
航空貨物でも3つのカテゴリーがある、基本サイズがベースで重量も料金に加味される。料金の違いは日本到着までの日数。今回見積もりで約5キロ、EMSでR$580(17000円)、通常サービスでR$390(12000円)、プライオリティーでR$1200(32000円)。
発送依頼するにあたり、かなり面倒くさい書類を作成することが義務化されている、これは、正式輸出扱いとなるため、Invoice, Packing ListとAirWaybillにあたる輸出書類を貨物にAttachしないとならないため。
貨物を郵便局に持ち込む
ということで、貨物の梱包を完了して必要書類も準備して、郵便局に持ち込んだが、「うちでは、国際貨物は扱えない」という郵便局が2つあり、たらいまわし。
2つ目の郵便局員から、「ここでなく、別の大きい郵便局に持ち込みなさいと」。
これが、ブラジルの現状、仕事、サービスの標準化がなされていない。ということで、指定の湯便局に持ち込むと、対応した郵便局員が、これまた、わかってなく、「19番の日系人の局員に聞いてみて。」と。
またまたたらい回し。順番を待った。順番が来ると、さすが日系人、手続きもよくわかっており、丁寧に対応してくれた。ここまででその日すでに6時間経過していた。
これが言語が不便な日本人が依頼していたと思うとぞっとする。
請求金額の日本からの送金とブラジルでの入金
クライアントから、支払いを完了した旨連絡、翌日当地銀行から入金の連絡があり、口座に入金するにあたり、また、いろいろな書類の提出依頼がきた。
為替契約、入金目的証明書類、会社の登記簿などなど。2日費やす。なんとかして、無事、口座に入金。
貨物到着
出荷してから6日程度で日本に貨物が到着。
EMSであったので、トレースもでき安心して出荷後の貨物の状況確認できたのは良かった。2日ほど通関で検査で留められた模様だが、その後無事リリース。
HSコードでは無税扱いだったが、先方様によると7200円支払ったとの事、これは、何だったのかは不明。通関費用なのか、配送費用か、または税金であったのか。こうしたリスクも一定程度許容しないといけない。
まとめ
個人事業での輸入はそこまで利幅がとれないのではないかと、クライアントのことを勝手に思っていたので、いろいろと数字をまとめてみた。
商品代が現地卸値で約60,000円ほど、当地払いの前払い輸送料が17,000円、梱包費用2,000円で現地の請求費用が7,200円と商品代以外で26,200円の経費が発生した。
この経費は商品代の半分にあたる額だ。しかしながら、このお客さん曰く、日本にない商品であり、経費を考慮しても50%ほどの粗利は十分とれる価格に設定できるということ。これだけインターネットが発達した世の中でも、ブラジルという国の特殊性と言語の問題、そして人の動きを考慮すると、こうした業者から購入するのが手っ取り早いのは、輸入代行した私が一番感じたのかもしれない。
今回初めて、郵便経由で個人事業主向けの代行購買と代行輸出をしたが、思ったよりスムーズにいくことが分かった。
今回のような日本にないニッチ商品の場合、日本での価格設定も縛りもなく、粗利がきちんと取れるビジネスとなっており、面白いビジネスであると改めて感じたところである。
ブラジルは輸入には高額の税金がかかりさらに経費も高く割に合わないが、意外にも輸出についてはほとんど制限なく輸出が可能。リアル安の場合、為替益も出しやすいため、海外で売れそうなブラジルの商材を見つけて小さいビジネスを始めるのも面白い。
商品探索からお手伝いしており、興味関心のある方は是非お気軽にお声がけいただきたい。
阿部俊哉
1988年早稲田大学卒業後、通算25年、日系メーカーにて中南米市場の営業とMarketing業務に従事。通算13年間ブラジルに駐在員として滞在。日系3社にてブラジル現地法人の新規立ち上げを行いビジネスを立ち上げる。現在、JB Crew Comercio LTDAの運営に従事する他、株式会社MIMO JAPANを設立、コンサルティング業務に従事。ブラジル、サンパウロ市在住。
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