Airbnbを利用して海外の旅を楽しみたいという方が多い一方で、国内でホストになりたいという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
今は誰も使っていない部屋があったり、親から引き継いだけど放置している建物があるという方にとって、Airbnbは一つの不動産運用として検討してもいいかもしれません。
以下の記事にあるように東京でさえも住宅は供給過剰で、空室のままになっている不動産が多く存在しています。
僕自身も実際にAirbnbを利用してブラジルで長期滞在しているのですが、自分が運営者側だったらと考えた時に気づいたことがいくつかありました。
①長期滞在者をメインターゲットにすると手間が省けてコストダウン
Airbnbを運営するにあたり、一番ターゲットとして美味しいのは”長期滞在者”なのではないかと思いました。最低2週間以上がいいと思います。
理由は以下の3つです。
1.きちんとメッセージを出せば稼働率が高まる
これは当たり前といえば当たり前なんですが、一度入居すれば当分部屋を埋めてくれるため、稼働率の向上につながります。
一方で、長期宿泊者は短期宿泊者よりも母数は小さいでしょうから、長期滞在者がきちんと自分のページを見つけてくれることが必要になります。
では、どのようにしてターゲットの長期滞在者に自分の宿を見つけてもらうかというと、以下のような方法があります。
- 最低宿泊日数を15日以上など長めに設定する
- 1ヶ月以上滞在者の割引率を大きくする
- 月1回の食事イベントなどを設定して、長期滞在者がメリットを享受しやすくする
Airbnbでは最低宿泊日数や週単位や月単位で宿泊する人に対して割引レートを提示することができます。
あなたのページを見た人は、その宿泊日数の制限を見て「長期滞在者の受け入れに慣れていそうだな」とか「一泊この値段のところが1ヶ月滞在だとこんなに安く利用できるのか、お得だ!」と思うわけです。
また、定期的なイベント(簡単な食事会やおでかけイベント)があると、長期滞在者にとっては宿泊候補にあげる理由になります。
なぜなら長期滞在者は結構暇な場合が多いからです。
ここらへんの気持ちを上手く汲み取って、各種設定やもちろんプロフィール欄にも記載することで、狙ったターゲットに上手くヒットするように思います。
2.受け入れ、メンテナンス頻度が激減
新規に入居者を受け入れる場合、鍵の受け渡し、各種説明、クリーニングの実施諸々結構手間がかかります。
長期入居者であれば当然そうした作業の頻度が減りますから、手間もコストも抑えられます。
当たり前のよっちゃんいかですが。
3.基本的な運営は宿泊者たちが自主的に行う仕組みづくり
長期滞在者は暮らしていくうちに宿泊施設のルールや不文律を勝手に理解していきます。
洗剤の仕様ルールやキッチンの道具がどこに入っているかなんていうのは、管理人より滞在者の方がずっと詳しいのは当然です。
そうすると、管理人より滞在者に自主管理をさせた方が好ましい状況も多くあるわけです。
既存の入居者が新規入居者に何かと気をかけてあげたり、助けてあげるような仕組みを積極的に作ってあげさえすれば、管理人は定期的なメンテナンスだけを行い、あとは自治会のような状況にします。
自身が宿泊した施設では、Whatsappでグループを作成して、そこでやり取りが行われていました。探しものなど簡単なトラブルは管理者が対応する必要がありませんし、誰々さんが新しく入ったから皆よろしくねという連絡だけしておけば十分です。
②ホストでコミュニティをつくって管理コストを更に削減
日本ではAirbnb専門の運営業者がタケノコのごとく次々に出てきているようですが、僕が宿泊した施設のことを考えると事業者でなく大学生がやればいいのではと思いました。
というのも、僕が宿泊した施設の管理人Sarah(サラ)さんは近隣のいくつかの施設の管理もされていました。しかし、それらの物件は彼女の所有ではなく、近隣の家の人々が所有しているものです。
ここブラジルでは金持ちは果てしなく金持ちで、不動産を数軒持っているというのが珍しくありません。Sarahさんはその管理を一手に引き受けて、おそらくはいくらかの小遣いを稼いでいると思われます。
しかしながら業務内容は鍵の受け渡しと各種説明、何か会った場合のホットライン、定期的な生活用品の補充くらいです。
これなら近隣のお金持ち同士が手を握り合って、英語の話せる大学生を雇って、全体の管理を大学生に任せる形でも十分運用可能です。
逆に大学生たちが近所のお金持ちにアタックしてみるのも面白いかもしれません。
こうして業者にお願いするよりもずっとコストを抑えられると思います。
③既存の宿泊施設の空いている部屋を開放して売上増加
通常はAirbnbで見かけないような宿泊施設も実はAirbnbのリストに出てきたりします。Expedia(エクスペディア)やTripadviserのようなサイトに掲載している施設もちらほらAirbnbで見かけます。
何を隠そう僕が宿泊していたところもそもそもは学生寮です。
学生寮は通常入居シーズンと退去シーズンがある程度決まっていて、入居シーズンに学生が埋まらないと半年なり1年間は薄利が確定します。
しかし、こうした既存の宿泊施設も、空室を短期宿泊者などに開放することでいくらかのキャッシュを生み出すことができるわけです。
学生寮に住む学生と旅行者とでは目的が異なるわけですから、無論価格の二重設定も問題ありません。
極論を言えば、シーズンオフの温泉旅館のほとんど埋まらない大部屋を相部屋のような形で開放してもいいと思います。日本人は来ないですが、外国人は結構くると思います。
この場合も、いくら安くしても日本人観光客は来ないわけですから、通常の顧客の共食いは発生しないと見ていいように思います。
Airbnbはとにかくゆるい。それはコミュニティの力が成せる技
Airbnbはとにかくゆるいです。
最近の日本人はなんでもシステマティックに物事を進めている癖が染み込んでいて、逆にシステムをがっちり構築しないといけない気分になっているように思います。
一方で、Airbnbがそのゆるさで何故旅行者から支持を得ているか。ゆるいだけで、運営がグダグダになれば、当然人々は敬遠するようになりますから。
でも、Airbnbのゆるさはコミュニティや人と人のつながりによって支えられています。
ルールやシステムが完璧になっていなくても、人々の知恵の範囲内で物事はほとんど解決してしまいます。いわゆる知恵ですよね。
そしてそれこそがAirbnbが売り出す「人との触れ合い」の源のように思います。