ブラジルに旅行に来たことがある人なら必ず味わったことがあるであろうカシャッサ。
特にカシャッサをライム、砂糖と一緒にしてつくったカクテル「カイピリーニャ」はハマる人が多いはず。日本国内のバーでもよく取り扱われていますし、ブラジルに行けば真夏のビーチで楽しむカイピリーニャは格別です。
一方で、原酒となるカシャッサは知名度がかなり低いと思います。僕の周りでも「カシャッサって何?」という人がほとんどです。また度数の強さは知っていても、ブラジルの度数の高いお酒というくらいのイメージしかなく、カシャッサの原料がなにか、どんなお酒かはほとんど知られていません。
実は日本でも楽しめるカシャッサ。その背景に想いを寄せながら飲むとまた一味違った味わいがあるかもしれません。
今回はカシャッサを飲むときに知っておくと、さらに味わい深くなる5つのカシャッサにまつわるお話をご紹介します。
ブラジル国民ご愛飲のカシャッサとは
カシャッサを飲んだことのある方でも、カシャッサがどのようなお酒かご存知ない方もいらっしゃるでしょう。
カシャッサはサトウキビを原料とした蒸留酒です。いわゆるスピリッツの部類です。同じくサトウキビを原料とした蒸留酒にウィスキーやラム酒、泡盛も含まれますが、以下の点がカシャッサの特徴です。
- ブラジルと西インド諸島の気候や気温などにより、本来持っている酵素や細菌が異なる。
- 異なった文化圏(ポルトガル語対スペイン語という言葉や生活習慣など)での製造の手順や手法が異なる。
- ブラジル以外で製造されるスピリッツの多くは、200リットルのアメリカやヨーロッパの広葉樹(オーク)の樽に長く置かれるが、ブラジル原産のカシャッサは、それらよりも大きい1万リットル程度の樽を使う。また樽はアマゾンの森林樹や大西洋沿岸の森林樹を使う。
度数は38度から50数度とかなり強く、ストレートで飲む時はちびちびと飲むのが一般的で、カクテルにして飲むとついつい飲みすぎて二日酔いになるというのが定番です。
ブラジルに来ると「カシャッサは飲んだか」、「カイピリーニャは飲んだか」と聞かれないことはないくらいにブラジル人が愛しているお酒なわけですが、その想いを支えるエピソード、その想いを知ることのできるお話をご紹介しましょう。
カシャッサがより美味しくなる5つ豆知識
実は消費量世界第2位を誇る蒸留酒。ブラジル国内ならどこでも
日本ではあまり知られていないカシャッサですが、蒸留酒としては世界第2位の消費量を誇っています。
ヨーロッパ各国にも輸出されていることも一因ですが、やはり2億人を超えるブラジル国民の消費も無視することは出来ません。
ブラジルのバーやレストランに行けばキャシャッサを置いていないところはなく、カシャッサで作ったカクテルは様々な種類が用意されています。またスーパーでもカシャッサのコーナーに行けばボトルで300円以下の廉価なものから数万円を超える高級なカシャッサまで揃えられていることは珍しくありません。
僕の友人はパートナーと一緒になったお祝いに10数万円のカシャッサをプレゼントされるなど、贈答品としても活躍しています。
このような背景の下、2013年の統計によれば、ブラジル国民1人あたり11.5リットルのカシャッサが消費されたとのことです。40度超えの酒を平均で11.5リットル、毎月1リットル飲むブラジル人すごいです。
飲み方はカイピリーニャだけじゃない。カクテルに最適なカシャッサ
レストランに行けばカシャッサをベースにしたカクテルが様々用意されています。
代表的なカイピリーニャはもちろんこと、南国ならではのフルーツとミックスしたカクテルが多く揃えられています。
海外のサイトではカシャッサベースのカクテルのメニューが数多く紹介されており、自宅でも楽しむことができます。
カシャッサカクテルの代名詞”カイピリーニャ”は元々は”風邪薬”だった
カシャッサを使った代表的なカクテルであるカイピリーニャ。実は元々は風邪薬として利用されていたとブラジル人の友人に聞き驚きました。
20世紀初頭に猛威を奮ったスペイン風邪を治癒する薬として、カシャッサとレモン、にんにく、蜂蜜を混ぜたものを飲んでいたそうです。ここらへんは日本でいうところの生姜湯に近いかもしれません。
度数の高いアルコールを入れることで体を温めるという効果を期待していたかは不明ですが、この風邪薬からにんにくや蜂蜜が無くなり、代わりに砂糖が入り、熱いブラジルでも飲めるようにと氷が入れられたとされているようです。
小さな酒造がつくるカシャッサがめちゃくちゃ美味しい
ブラジルには小規模な醸造所が数多くあり、その数40,000とも言われています。そしてこの小さな醸造所が丁寧につくるカシャッサが大人気なのです。クラフトビールに近い感覚です。
中でもカシャッサ製造に適した気候を持つというミナスジェライス州。カシャッサの生産量は大規模な工場があるサンパウロ州が最大ではあるものの、ミナスジェライス州には古くからの職人芸による手作りのカシャッサ醸造所が多くあり、手作りのカシャッサ生産量ではミナスジェライス州が最大なのです。
ベロオリゾンテやオーロ・プレットなどを訪れた際には是非蒸溜所見学ツアーなどに参加されることをオススメします。
カシャッサ指数という経済指標がある
カシャッサは国民の感情を表す、そんな経済レポートがあります。
ブラジル世論調査・統計機関の下部組織が今年8月に発表したレポートによれば、全国消費者期待指数と呼ばれる一般諸費者の経済見通しの指数とカシャッサの販売量を比較したところ、期待指数が低い時ほどカシャッサの販売量が伸びるという傾向がありました。
当機関ではこれをカシャッサ指数と呼んでいます。
カシャッサは他のアルコール飲料に比べて価格が安く、社会に対する鬱憤を発散するにはお手頃な酒なのかもしれません。しかし、現実逃避のために度数の高いアルコールに走るというのはブラジル人らしい傾向と言えそうです。
Amazon.comでも購入できる。自宅で楽しもう
このブラジルのお酒ですが、実は日本でも簡単に購入することができます。
個人的な経験で言えば、ビックロ(ビックカメラとユニクロの複合店舗)新宿店の酒コーナーに3~4種類のカシャッサが販売されていた他、酒のカクヤスで取り寄せをすることができました。
またネット通販大手Amazonでも一般的なカシャッサの購入が可能です。安いものであれば1,500円ほどで購入が可能です。
カクテルであればこの51でも行けますが、オススメはイピオカの方です。アルコールの風味が柔らかく飲みやすいです。
またバーなどではカイピリーニャを提供している店舗は多くあります。もし可能であればストレートで飲めるようなちょっと高級なカシャッサを試してみると良いかもしれません。
こちらの記事にカシャッサを楽しめるバーなどを紹介していますので、是非ご覧ください!
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