厚生労働省が毎年作成している人口動態統計によれば、2015年に500人以上の日本人がブラジル人と結婚しています。男女比でいうと男性側がブラジル人というケースの方が若干多いという状況です。
最近は国際結婚への憧れよりも、大変な部分が注目されているようで、国際結婚カップルの離婚というのも一つのテーマとして上がっています。
国籍別の離婚率というのは不明ですが、同じく人口動態統計によれば婚姻者数の約7割にあたる数の国際結婚した夫婦が離婚しているとのこと。こうしたイメージが国際結婚カップルの減少にもつながっていそうです。
価値観の相違など離婚する理由はそれぞれだと思いますが、ブラジル人と離婚をする場合は、結婚する時と比べると手続きが少し複雑だということを事前に理解しておく必要があります。
英語版で面白い記事を見つけたので、こちらを抄訳する形でブラジル人との離婚手続きの概要について解説したいと思います。
近年簡素化されたブラジルの離婚プロセス
ブラジルはここ数年で離婚者数が急激に増加しており、これは2011年に行われた憲法改正の影響だと言われています。
というのも、2011年までブラジルでは離婚の手続きに最低1年、場合によっては2年要することもあり、離婚自体が大変面倒なものだったのです。
しかしながら、2011年の憲法改正により現在では結婚した翌日に離婚することも可能となりました。
とはいえ、離婚プロセスは日本ほど簡易とはいえず、子供がいたり、共有財産がある場合にはブラジルの最高裁の承認が必要だったり、弁護士を通して手続きが必要だったりと日本に比べればやはり面倒なものです。
今回はこの手続の流れを簡単に説明します。
ブラジル人との離婚手続きの流れ
まず知っておくべきことは、日本人とブラジル人が離婚する場合、日本とブラジル双方に届け出が必要であるということです。
日本人の場合、日本国内で離婚届を提出して受理されればそれで手続きは終了です。これで晴れて独身となり、もし次にパートナーが見つかればその人と再婚することが可能です。
一方で、ブラジル側の手続きも必要にしておく必要があります。これは日本人であるあなたのためではなく、ブラジル人の配偶者がブラジル国内で独身に戻るための手続きです。もちろんあなたがまたブラジル人と結婚したいのであればあなたにとっても重要な手続きですが、原則としてはブラジル人の配偶者のために行うものです。
大きな流れは「弁護士を雇う」→「最高裁にオンライン申請」→「最高裁の承認」→「弁護士による法手続き」です。
弁護士を雇う
ブラジル人との離婚手続きに際しては弁護士の選定が必須となります。
弁護士はブラジル人であり、 Ordem dos Advogados do Brasil(通称OAB,ブラジル弁護士協会)に登録されている弁護士である必要があります。
当該弁護士を選定するわけですが、代理人手続きはブラジルに行く必要はなく、日本国内のブラジル領事館で行うことができます。日本から出る必要はなく、領事館で選定手続きをすれば後は弁護士が全て代理して手続きを済ませてくれます。
ブラジル最高裁への申請
さて、必要書類(後述)を揃えたら、これを最高裁に提出して離婚申請手続きを行います。最高裁にオンラインで申請するなんて日本では想像できないことですが。。。
Lei do Processo Eletrônicoと呼ばれるシステムで2008年から稼働しているシステムだそうです。
最高裁による承認と弁護士による離婚手続き
書類に不備がなく、内容についても問題が無ければ最高裁から弁護士に承認書類が与えられます。これだけの手続きなのですが、離婚承認プロセスで平均4ヶ月、承認後の最高裁裁判長による書類手続きが4週間から6週間かかり、結局半年程度かかるのです。
これは飽くまで平均的な期間であり、議論が紛糾すれば期間は長くなる可能性があります。
この承認をもって弁護士が離婚手続きを行い、晴れて法的に離婚が認められることになります。
必要な書類
必要書類は以下の通りです。
- 結婚証明書
- 日本における離婚証明(離婚事由を含む。またブラジル領事館における公認が必要)
- ブラジル国内における離婚を容認する宣誓書。公証役場で登録したサイン付。
- 離婚後の氏名を示す書類
- 弁護士に対する代理人としての地位
実際のところは選定弁護士から必要書類を求められると思いますので、そちらに従って下さい。また各書類は公的な翻訳者によるポルトガル語への翻訳が求められます。
ブラジルにおける離婚手続きは弁護士任せ
以前に比べて手続きが簡素化されたとはいえ、結局半年程度かかるわけです。日本であれば即日終わりますし、書類も離婚届一つなわけで、それに比べると複雑な手続きです。
また弁護士がほとんどの手続きを行うわけでして、コストも相応にかかることになります。翻訳費用や弁護士費用は依頼する先によって大きく異なるとは思いますが、離婚一つにここまで時間がかかるのであれば、とりあえず日本国内の離婚手続きだけ済ませてしまおうという気持ちが湧いてこないでもなさそうですね。
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