現在日本からブラジルへ旅行や友人に会いに行く際には必ず観光ビザの取得が必要となっています。

これが面倒な上に現在は数次ビザ(一度取得すれば3年間有効)になっておりまして、観光ビザの取得に1万円以上かかるといった状態です。
そんな中現在いくつかの国に対して義務付けている観光ビザの仕組みをブラジル政府が廃止する方針だとロイターが報じています。
観光ビザ免除で観光収入を伸ばしたいブラジル政府
ロイターによればブラジル政府はアメリカ、日本、カナダ、オーストラリアを対象に義務付けている観光ビザの取得を廃止することを検討していて、最終的には中国観光客についても同様の取扱をすることも考えているとのこと。
この4ヶ国は今年夏に行われたリオオリンピックの際に一時的に観光ビザの免除を行った国々であり、いわばこの延長線上に恒久的なビザ免除を行うことを検討しているそうです。
また今年新たに始まったテメル政権としては、この政策を現在の不景気から脱却するための一つの手段として捉えていて、この意味において中国もまたビザ免除の対象となっているようです。
日本からブラジルへの旅行者は年間8万人超。狙うは1億人の中国人観光客
この施策において短期的に特に大きなターゲットとなっているのがアメリカ人で、2015年でアメリカからブラジルへの観光客は年間57万8千人いるそうです。今年はオリンピックもあってさらにその数は増加したことでしょう。
ちなみにブラジルから日本への年間8万5千人程度(2014年:日本旅行業協会)でその数はずっと少ないものの、ブラジルに落としていく金額は相応の期待ができるのかもしれません。
一方で、ビザは双方の国が同様のビザ発給要件を示すのが一般的です。日本は少し例外かもですが。
例えばA国がB国民に対してビザの取得を厳しくすれば、一方のB国もA国民に対するビザ発給を絞るといった感じです。
で、この点について考えると、もしかしたら日本観光客よりもブラジル人を日本に送りたいのかなとも思うのです。
広く知られているようにブラジルには多くの日系人がおり、現在では4世、5世にまで世代が下っています。彼らの中には日本での就労を希望する者もいるのですが、現在は日系4世以降を対象とした「特別定住ビザ」を日本はまだ認めていないのが現状です。
日本については観光ビザ以外にも長期休暇が取りにくい、ブラジルとの地理的な距離の問題などがあり、ビザを免除したところであまり効果は無いように思うわけで、邪推の域ではありながらも、こうした日本へのブラジル人といった観点で日本人のビザを免除しようとしているのではないかとも思うわけです。
以下はロイター記事の全訳です。(新しいGoogleTranslateの自動翻訳に補記したもの。参考程度にどうぞ)
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ブラジル政府は、米国、日本、カナダ、オーストラリアからの観光客のためのビザを放棄することを検討しており、最終的に中国を含む計画を延長する可能性があると、観光省の広報担当者が月曜日に述べた。
新政権の観光省大臣マルクス・ベルトロン(MarxBeltrão)によれば、今年リオデジャネイロで開催されるオリンピックの際に、4カ国からの来訪者に対して行ったビザ免除プログラムを12ヶ月の試用期間にとして延長させる予定です。
ブラジルのミシェル・テメル大統領は、1930年代の大恐慌以来、中南米最大の国家を最悪の不況から脱却するために、より多くの外国人投資とブラジルへの訪問者を引きつけることを熱望している。
2015年には、575,800人の米国市民がブラジルを訪れ、これは南アメリカ諸国への総訪問者数の10%以下でした。一方、米国を訪れたブラジル人の数は、近年2014年に260万人に増加しました。
今後観光客の数が大幅に増加すれば、4カ国が相互にビザ免除を受け入れることで、ブラジルへの訪問者のためのビザの免除は永久のものになるだろうと、スポークスマンは述べた。
大臣の提案は依然としてブラジル政府の他部門の同意が必要で、特にビザを発行する外務省の承認を必要とし、米国市民がビザを必要としないよう免除するよう相互主義を要求している。
ほとんどのラテンアメリカ諸国、EU、ロシアからの訪問者はブラジルへの旅行にはビザは必要ありませんが、アメリカ人旅行者がブラジルを訪問するためのビザは160ドル、ブラジル人が米国訪問のためのビザでも同じ料金がかかります。
ブラジルの手数料は、米国のビザ免除プログラムからブラジルを除外する報復に課された。
観光省は、毎年海外に旅行する1億人の中国人観光客を誘致しようと、ビザ免除計画にいくつかの国を含めることを検討していると同スポークスマンは述べた。
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2017.3.20追記
ブラジル政府がビザの廃止に向けて具体的な検討に入ったとの続報が出ました。すぐにとは行かずとも、遠くない将来にビザ無での旅行ができるようになるかもしれません。
2017.4.13追記
2017年末からビザの簡略化が行われることになりました。完全廃止まではまだしばらくかかりそうです。
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