日本は未だにデフレから本格的な復帰が出来ない中で、ブラジルはインフレ街道爆進中で御座います。
銀行にお金を預ければ年利10%はくだらず、労働組合からのペースアップ要求もこの水準を上回ることが珍しくありません。
そしてその影響もあって、ブラジルに来る日本人は皆が最初に驚くのが、ブラジルの物価水準です。他の途上国に比べると決して安いとは言えない物価で、一部は日本と同じくらいのレベルだったりします。
しかしながら、この国の最低賃金は2016年現在月880レアル(約28,000円)でして、共働きでそこそこの収入でも5,000レアル(約15万円ちょい)もあれば中流の上くらいの生活を営んでいます。
そういうわけで、多くの日本人が語る「ブラジルの物価が日本並」が本当であれば、ブラジル人はほとんど生活できないわけでして、そこは慎重に観察する必要があります。
飽くまでサンパウロの例ですが、現地で見てきたいくつかの価格について、日本の価格水準と比べたいと思います。
家賃
家賃は日本同様場所によって大きく異なります。
駐在員が暮らしているパウリスタ通りの裏などであれば、5,000レアル(約15万円)や8,000レアル(18万円)などは珍しくなく、企業によってはもっと高い水準でしょう。とはいえ、日本橋で3LDKに住んでいることを考えれば十分に安いように思います。
一方で、ひとり暮らしであれば1,000レアルもあればそれなりのところに住めます。しかも日本の狭小住宅のようなワンルームアパートではないので、23区無いの家賃を考えれば相対的に安いように思います。
もちろん設備が新しいわけではありませんが、充分な生活水準が得られます。
また、知人のリベルダージ駅近くの18階(最高階)でも1LDKで1,900レアル(約6万円)。もちろんガードマンもついています。正直いって23区内の家賃水準に比べれば破格です。僕が新宿で住んでいたマンションなんて1階でワンルームで8万円もしていたのに。。。。
その他の現地在住の非駐在員の方のお話を聞いていても、まぁやはりこの水準でそれなりの住居を借りる事ができます。
通信費
インターネット
ネット回線は100レアル(約3,000円)も出せばネットとケーブルテレビがつながります。高速回線だともう少しするようです。
ネット回線は日本に比べれば多少不安定ですが、動画も十分に耐えられるレベルです。
ケーブルテレビもスポーツやらドラマやらチャンネル数も相応にありますから、まぁリーズナブルなレベルでしょう。
携帯料金
僕はそこまで頻繁に携帯を使わないのでプリペイド型のSIMを契約しており、1日1レアルです。通話料金もWhatsappという欧米版LINEを利用しているので月40レアルもいきません。
後払いのタイプでも週10レアル(300円程度)で500MB+200MBのボーナスパケット付きのプランがあります。
日本だと7GBで月々6千円超えます。インターネットを多く使わない方であればかなり通信費を落とすことが可能です。逆に多く使う方はもう少しパケット容量の大きい契約になりますが、それでも日本に比べれば安く上がるのではないでしょうか。
iPhone
これは高いです。
上記のようにiPhone6sの32GBモデルで3,000レアルします。つまり9万円。
で、日本の価格が以下のような水準。1.5倍違います。ブラジル高い!
これは最も顕著な例ですが、ブラジルでは輸入品の完成がものすごく高くて、そのまま販売価格に転嫁されるので、消費者にはたまったものではないです。
その他の家電品でもやはり高くなる傾向にあって、これなら日本で買った方が良いものを安く買えるんじゃないかと思うことは多々あります。

テレビ(一例)
ブラジルは家電製品の価格を記載する場合に分割払いの一回あたりの金額を大きく表示させて、総額を小さく記載することが一般的になっています。そのためこちらのテレビは2,699レアル。
LGの49インチテレビで86,000円超で、液晶テレビも安くなったなぁと思うわけですが、これは日本とほとんど変わらないか少し安い程度の水準です。工場がブラジル国内にあるLG製品は諸税もあまりかからないためこの値段ですが、輸入品になれば値段は倍に跳ね上がる勢いだったりします。
飲食品
さてここからがブラジルの本領発揮です。家賃や家電類はいくらか節約出来ますが、食費は胃袋の数だけ必要ですから。でも農業国ブラジル。ここはかなり期待出来ます。
ちなみに写真は近くの比較的上級なスーパーとハイパーマーケットの2箇所のものです。
野菜・果物
青果物は中級から上級のスーパーでも日本に比べるとかなり安いのではないでしょうか。
※価格は概算です。
▼【上級】トマト1kg 200円くらい
▼【ハイパー】トマト1kg90円強
▼【上級】じゃがいも 1Kg 100円
▼【ハイパー】じゃがいも1kg87円
▼【上級】ナス 1Kg 112円
▼【ハイパー】ナス1kg90円強
▼【ハイパー】ニンジン 1Kg 236円
▼【ハイパー】ライム 1Kg 70円
▼【ハイパー】キャベツ 1Kg 107円
▼【上級】メロン 1Kg 228円
▼【ハイパー】メロン1kg90円強(上級スーパーと品種は違います)
▼【上級】バナナ 1Kg 約170円
肉
これも品質を考えると安いと思います。
【上級】ちょっと見えにくいですが、鶏肉手羽先1kg300円です。
【ハイパー】鶏肉手羽先1kg 208円
▼【ハイパー】ピッカーニャ(牛の腰から尻あたりの肉)1kg 900円です。
魚介
ちょっと日本語訳が分からないので、とりあえず写真だけ。1レアル32円、Kg単位の値段として認識下さい。なお、担当のスタッフが好きなようにさばいてくれます。
▼【ハイパー】海鮮品コーナー
パン
ちょっといいお店でフランスパンを購入すると1kgで15レアル(750円)。菓子パンなどは少し高く、ドーナツで1つ90円くらいです。(ミスドの一回り大きいサイズ感)
ただ、食パンなども日本とそこまで大きく変わらないか多少は安いかなという感じですかね。
菓子類
菓子はPB商品がとてつもなく安かったりしますが、だいたい以下のような水準です。量目を考えると日本よりも安く、日本で高くなりがちなチョコレートやクッキーが100円以下で購入できるのは嬉しいです。
【上級】チョコクッキー 90円
【ハイパー】ウェハース 73円
飲料品
グローバルで販売されている商品は基本的に日本のスーパーと変わらないと考えていいでしょう。
【上級】コーラ缶 90円強
【ハイパー】1.5L コーラ 178円
【ハイパー】レッドブル 192円
【上級】缶ビール 92.8円
【ハイパー】缶ビール 82円
日配品
【ハイパー】パスタ500g 95円
【ハイパー】ケチャップ 163円
【ハイパー】カップ麺(日清) 81円
外食
ランチ(定食)
ランチはお店によって値段が大きく変わります。一般的には10レアル程度から30レアル(300円から900円)くらいでしょうか。
ブラジルのランチといえばポルキロとプラートフェイト。
ポルキロなら自分の好きな料理を欲しい分だけ取り皿に盛ることができますので、満足度も高いと思います。大盛りに盛っても30レアルいくかなといった水準です。

一方でプラートフェイトはブラジル定食ですが、これは超大盛りで15レアルくらいだったりします。しかもこの値段にサラダやフライドポテト、肉、フェイジョンがついてくるわけでして、日本の1,000円超のランチに匹敵するレベルなので、結構お得に感じます。
ラーメン
日本と同等もしくはそれ以上で、一部の店舗を除いてまともなラーメンを食べようとすれば、900円以上になります。こちらでは高級品の部類になります。

マクドナルド
ビックマック指数なんて言葉があるくらい物価水準の定規として使われるマクドナルド。
ブラジルのマックは日本に比べると高い!これは高いです。セットで25レアルから30レアル(750円~900円)近くします。ブラジルでお肉なんていくらでも安く購入できそうなのですが。日本では500円マックが普及しますからここは日本に軍配が上がります。
ブラジルの友人もマクドナルドは高級品の部類だと言っていました。
すき家
サンパウロ限定ですが、すき家があります。若干日本より高いかなという感じですが、ファストフードというよりはちょっとしたレストランのような雰囲気もあり。値段だけの単純な比較は難しいかもしれません。
ただし、日本食というカテゴリでも考えればかなりリーズナブルな水準だと思います。
参考

飲み屋
ブラジルの一般の人々が行くお店であれば、100レアルあれば飲んで、食べてお釣りが来ます。
ビール中瓶で10レアル程度、食事が本当に量があって30レアル程度です。2人で2品頼んだらもうお腹いっぱいだと思います。
ちなみに日本食はクオリティの割に高いので、そこは別勘定で考えたほうが良いでしょう。
交通費
バス・電車
サンパウロ市内ではバス・電車共に3.8レアル(2016年現在)です。それぞれどこまで行っても同額です。日本の初乗り料金並の上、バスは3回まで乗り換えしても同額、電車とバスの乗り継ぎにはいくらかの割引があり、さらには高齢者や学生は無料で乗車出来ます。
参考

飛行機
まぁこれはあまり国に関係ないと思いますが、比較的安いと思います。
東京大阪間くらいの距離で片道6千円程度、プロモーションをつかめば4,000円程度です。でもこのくらいであればほとんどのブラジル人は長距離バスを利用しますけどね。
長距離バス
長距離バスであれば、リオーサンパウロの夜行バス(ほぼフルフラット)で100レアル(3,000円)くらいでした。約7時間くらいですね。
ブラジルは長距離バスがとにかく発達していて、日本の24倍ともいわれる広大な国に長距離バス路線が張り巡らされています。しかもWiFiが付いていたり、フラットシートだったりとサービスも悪くありません。是非一度お試しを。
参考

タクシー
ブラジルのタクシーは一般的なタクシーと最近流行りのUberがあります。
通常のタクシーでも日本に比べれば安く、30分走って50レアル(約1,500円)くらいですかね。もう少しするかもしれませんが。
ただUberを使うとこれが更に安くなります。20レアル(約600円)前後で30分くらいの距離を走ります。
参考

ブラジルの物価高いの嘘本当
確かに物価は高いと感じることが多いですが、冷静に考えると衣食住に必要な要素は決して高くありません。
もちろん高いレストランはいくつでもあります。しかし通常の生活を送る上でこの国の物価が高いというのであれば、大凡庶民感覚から離れた生活を求めている事が多く、それはどこの国に行ってもお金のかかることでしょう。
逆に日本ではお金のかかりがちなバーベキューは気軽にできますし、太陽の下で飲むビールは日本では結構贅沢な部類になったりします。
ブラジル流の生活を送れば日常の生活をリーズナブルに豊かにできるのがブラジルの素晴らしいところではないでしょうか。
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