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現金決済にしたいUber。でも顧客とドライバーはそれを望んでない。

uber

Uberについて、先日こんな記事を書きました。

ドライバーが語ったUberのビジネスモデルが持つ3つの成長ポイント
まだ日本では本格的に始動していませんが、ここブラジルでは新しいタクシーサービスUberが強い人気を誇っています。 理由は単純に安いから。サ...

Uberの運転手のオジサンとの会話をまとめたものなのですが、要はUberは運転手に対して結構優しいよね、まぁドライバーの協力がないと成立しないビジネスモデルだもんね、みたいな内容です。

一方で、顧客からはクレカ払い(=最大1.5ヶ月後の入金)、運転手へは翌週支払い(最大2週間後の出金)というこのビジネスモデルにおいて、この間の資金負担ってどうなの?と思ったわけです。いわゆる運転資金の金利負担とかそれなり重くない?と。

さらにUberは有名な赤字会社で、今期は上半期だけで1,300億円以上の赤字を出しています。

配車サービスを手がける米ウーバー・テクノロジーズは、非上場企業であるため業績を開示する義務がない。だが3カ月ごとに数十人の株主に対し、決算の詳細を説明している。

あのシャープが直近2,500億円の赤字とかでして、通期で見れば同等の水準。2,000億円超の赤字とかベンチャー企業の域ではないわけです。この赤字のほとんどはドライバーへの補助金ということで、やはりドライバーを確保するために苦戦しているようです。

この状況の中でどこに運転資金のキャッシュがあるの?と思いまして、ちょっくら計算してみました。

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Uberの運転資金(対ドライバーのみ)

Uberがドライバーへの支払いを早めることでいくらの資金負担があるのか、その部分だけ計算します。

計算の前提

簡易的に以下の条件を設定してみます。

Uberの月間売上高は90億300万ドル

2015年度の予約売上高は108億4,000万ドル。単純平均で月間90億300万ドル。

ちなみに予約売上高は顧客が利用した時の利用金額のことで、Uberの取分としての収入ではないのでご注意を。

Uberとドライバーの分配比率は3:7

これはドライバーに聞いた話です。

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国ごとにいくらかの違いがあるかもしれませんが、簡易的に設定してみます。

顧客の95%がクレジットカード支払い

Uberは原則としてクレカ払いです。国によって現金支払も可能のようですが、一部と思われますので、仮に95%と置きます。

ドライバーへの支払いは顧客がUberを利用した平均10日後

ブラジルで聞いた話では、ドライバーへの支払いは毎週水曜日に行われます。ここはインタビュー不足ですが、おそらくは毎週水曜日に〆られて、翌週水曜日に支払いがあるのでしょう。ということは最大で13日、最短で7日後に売上が振り込まれる計算になります。

単純平均で考えるならば、(13+12+11+…+7)÷7=10日後にUberはドライバーに入金することになります。金曜土曜の売上が高いとすると若干伸びるかもしれません。

Uberへのクレカの入金は平均29.5日後

一方で、Uberへクレジットカード会社から売上が振り込まれるのは何日後でしょうか。クレカ事情に詳しくないのですが、JTBのサイトを見る限り、締め日の15日後に1ヶ月分の売上が振り込まれるようです。

末締めであれば、9月1日から30日までの売上を10月15日に振り込まれることになります。最大で44日、最小で15日後に振り込まれるので、こちらも単純平均を取ると以下のようになります。

(44+43+42…+14+15)÷30=29.5日後ということになります。

運転資金を計算してみる

運転資金は以下のように算出できます。

月間予約売上高×クレカ使用率×ドライバー分配率×(入金サイト-出金サイト:月単位)

さて、上記前提を元にこの式を算出すると以下のようになります。

90億300万ドル×95%×70%×(29日-10日)/30日=37.9億ドル

(最後を30日で割っているのは、入金・出金サイトを月単位にするためです。)

円にして3,800億円というところです。タクシードライバーへの支払いのために常にこれだけの現金をもっておかないとビジネスモデルとして成立しないわけです。ぶほ。

Uberは1兆円以上をファンドから調達している

さて、Uberがこれだけの巨額の運転資金をどのようにして調達しているのかが問題です。非上場企業で、赤字垂れ流している中で事業によって蓄えたキャッシュなどあるわけがありませんから。

で、Uberは巨額の資金を一般投資家やファンドから調達してきています。その額なんと累計で115億ドル。要は1兆1,500億円です。

これまでの事業赤字や投資を考えてもまだまだキャッシュは余裕そうです。2,000億円程度の赤字なら、はい。

さらに出資による調達のようですから、金利負担もないですから。運転資金の負担と言ってもそこまでではないと思います。

早期成長のために残したいキャッシュ。現金決済の道はあるのか

確かに”まだ大丈夫”ですが、さっさと事業を黒字に乗せられるポイントまで投資を積み上げる必要もあるでしょう。この中で資金繰りに影響を受け続けるわけにもいかず、巨額の運転資金を減らしたいところではないでしょうか。

すぐに思いつくのは現金決済の導入です。運転手はその場で収入が入りますし、Uberとしても最大1ヶ月半後にあった入金をさっさと受け取ることができるようになります。

もちろん課題としては「どうやってUberドライバーに正しい金額を振り込んでもらうか」ということでしょう。Uberの取分を持ち逃げする可能性やUberの知らないところでお金が動くことも考えられます。

しかしながら、それ以上にドライバー自身が現金払いを望んでいない可能性もありそうだから困りものです。

サンパウロでUberドライバーが強盗にあったという事件ですが、デモ抗議に来たドライバーからはこんな声があったそうです。

 運転手らは、同所よりユーバー本部のあるバーラ・フンダ地区まで車両で行進した。要求は「現金受領を廃止し、支払いをクレジットカードに限るべし」というものだった。
 運転手達はユーバーが現金受領を始めた約2カ月前から、運転手を狙った強盗が目に見えて増えてきたとしている。

現金を常に持ち運ぶなんてドライバーとしても怖いというわけです。確かに日本でもタクシー強盗は後を絶たず、個室空間で安全に強盗ができるタクシーは強盗に狙われやすいのかもしれません。

顧客としてもクレジットカードが楽で安全、ドライバーとしても無闇に現金を受取りたくない、でも支払いがすぐにないとドライバーをするつもりはない。

この板挟みの中で負担を強いられているUberがこれからどうするのか。赤字からの早期脱却に向けても重要な課題のように思います。

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