ドライバーが語ったUberのビジネスモデルが持つ3つの成長ポイント

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まだ日本では本格的に始動していませんが、ここブラジルでは新しいタクシーサービスUberが強い人気を誇っています。

理由は単純に安いから。サンパウロでは通常のタクシーサービスに比べて、半額くらいの料金で移動できることもざらにあります。

このUberは2009年にスタート、世界中でサービスの提供を開始しており、その成長には目覚ましいものがあるわけですが、その大きなポイントは何だろうと考えていました。

というのも、安さを売りにするだけでは、このサービスに参加するドライバーが十分に確保できないだろうし、ドライバーが少なければ顧客にとって使いづらいサービスになり、結局サービスの発展は見込めないわけです。

ドライバーの仕入れと顧客への廉価なサービス提供を両立させることができている理由を、Uberに乗車した際にドライバーのおじさん達と話しながら、僕なりに3つ考えてみました。

  

Uberとは

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Uberをご存じない方のために、Uberの内容を簡単に説明をしてみます。

Uberはタクシードライバーとタクシー利用者のマッチングアプリです。お互いに事前にアプリをインストールしておくと、ドライバーと利用者の現在位置から最も早くに利用できる流しのタクシーを探して呼び出してくれます。

これだけ聞くとたいした話に聞こえないのですが、ポイントはドライバーは行政から許認可を得ていない素人ということです。僕がブラジルで話している限り、ほとんどが皆副業としてドライバー登録をしています。

こうした行政の許可を得ていないタクシーサービスは従来”白タク”などと呼ばれていて、ぼったくりの象徴でした。僕もニューヨークで見事に騙され、通常料金の3倍を払うはめになりました。皆さんも空港の到着ゲートにいる「Taxi?」と聞いてくるおじさんには注意して下さい。

さて、それでも何故このサービスが人気かというと、①Uber登録時に厳格な本人確認があり安心②料金は距離に応じてUberにより決定されており、支払いもクレジットなどで詐欺は起きないという2点が前提にあるからです。

これに加えて冒頭の安さが相まって、顧客側には大きな需要があるわけですが、さてどうしてドライバーの皆さんはこのサービスを利用しているのでしょうか。

以下飽くまでブラジルにおける話です。大きく変わらないとは思いますが、国・地域によっていくらか内容は異なると思いますのでご承知おきください。

理由1:収入の配分が適正

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Uberは、顧客が支払った金額の30%がUber本社の取り分で、残りの70%がドライバーの収入となります。

この水準について公平かどうか多くのビジネスモデルを見ないと分かりませんが、個人的にはドライバーへの配分が十分に高いのではないかと思っています。

少なくともこちらの記事によれば、日本のタクシー会社のほとんどは60:40の配分になっているそうです。以下の点についていくらか考慮しないといけませんが、副業としてドライバーをするには悪くない取り分なのではないかと思います。

  • 燃料費など維持費はドライバーが負担(ただし自家用車を活用するため追加費用は燃料費くらい)
  • 多大な広告費が投入されており、また顧客獲得機会が十分に保障されているため、待機時間は少なくて済む

特に2つ目の点は大きいでしょう。流しのタクシーであれば道一本隔てただけでも顧客を獲得できませんが、Uberはシステムがその顧客さえも見つけてくれます。

ちなみにブラジルにおけるタトゥーショップのオーナーとアーティストの配分は50:50、聞いた所では売春宿も50:50だそうで、ビジネスモデルの違いはありながらも、ドライバーの収入は十分に確保されていそうです。

理由2:支払いまでの期間が短い、というか短すぎる

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これがすごいと思うのですが、Uberからドライバーへの支払いは毎週水曜日に行われています。

何がすごいかというと、この時点ではUberにはまだ現金が入っていないと思われるからです。なぜなら顧客からUberへの支払いはクレジットカードによって為されており、早くて1ヶ月後、ヘタすれば2ヶ月ごになってクレジットカード会社からUberに振り込まれるでしょう。

通常ビジネスの世界において、企業は可能な限り支払いを遅らせたいと思うものです。Uberへの入金までの間不足する資金をどのように工面しているのか不明ですが、恐らくは30%という取り分の中で借入金利もまかなえるような仕組みなのでしょう。

理由3:顧客を効率的に集めてくれるシステム

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上記でも簡単に触れていますが、ドライバー・顧客がともにアプリを利用しているために、そのマッチングが非常に簡単になっています。

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効率的な集客を理解する上で2つの仕組みをご紹介します。

一つは、繰り返し説明していますが、タクシーにとって乗客を見つけるのがとても簡単ということです。顧客はサービスを利用する際にどこでタクシーを拾うか地図上で指定します。Uberはその周辺にいる登録済みのタクシー(これもGPSで把握済み)を呼び出します。

これによって、近くにいるけど目視できない顧客を見つけることができるというわけです。

もう一つはUber Poolという仕組みがあるということ。Uber Poolは要はタクシーの相乗りサービスです。最初にUberを利用する際に相乗りのUber Poolと自分だけで利用するUber Xから選択可能です。

Uber Poolは相乗りの分だけいくらか料金が低く設定されていますが、相乗りの人が途中で乗ってきたり、相乗りの人を降ろすために寄り道することがあり、時間は少しだけ長くなります。

これをドライバー目線で見ると、A地点からB地点まで顧客を乗車させている時に、同様のルート内で移動したい他の顧客をついでに乗せて、その分の追加料金を得られるわけです。しかもUberがルートなどを自動で計算して、該当する顧客が見つかれば音で教えてくれる仕組みになっているので、ドライバー側の労力は一切ありません。

サービス業において労働者は超重要な顧客

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サービス業は人的資本によって支えられています。これは当たり前のようで、多くの企業が人材を摩耗しているのが現状です。

なぜなら十分なケアをするための余力、主には経済的な余力が企業側にないことが多く、それはビジネスモデル自体に起因していたりします。多くの企業が人材を摩耗させることでようやく企業の存続を保っていたりします。長期的に見ればいつか破綻する話なのですが。

Uberの場合は外部の労働者としてドライバーがいるため、摩耗してしまえば簡単にドライバーの協力を失うわけで、さらに難しい状況にいると言えるわけで、下手なビジネスモデルを起こせば破綻が目の前に迫るわけです。

そうしたわけで彼らはドライバーがどうすれば十分な収入を得ることができて、どのようにすれば快適に仕事ができるか、十二分に気をつけているのでしょう。

一方で、そもそも労働者が内部にいようと外部にいようとビジネスの本質には関係ないでしょう。例え自社内にいたとしても、労働者に対するケアはノウハウなどの蓄積、優良な人材の獲得につながる話です。そしてこれが企業の成長の飛躍に繋がるわけです。

こうしたUberの視点は多くの、特に中小の経営者が考えるべき問題で、そのためにはより良いビジネスモデルを常に模索していかないといけないだろうと思いまして、今回記事にまとめてみました。

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  1. […] ですよね。実際にUberって、手数料モデルであると思うので(ドライバーが語ったUberのビジネスモデルが持つ3つの成長ポイントが面白いです)、運賃の30%で回せるということは、システ […]

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