サンパウロで頻発する日本人の強盗被害。在住者・旅行者向けに直近の事件を整理してみた。

Local Life
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昨年末から今年にかけてブラジルはサンパウロにおいて日本人が被害者となる犯罪事件が頻発しています。

在サンパウロ日本総領事館が公表している事件だけでも、12月15日から3月7日までの約3ヶ月の間に14件もの事件が発生しています。領事館でも注意の呼びかけを行っていますが、どうしてもざっくりとした注意喚起が目立ちます。

今回、14件の犯罪を簡単ではありながらも振り返ることで何がどこで起きているのかをきちんと理解したいと思いまして、整理することにしました。

つい「犯罪は偶然に巻き込まれる」と思いがちですが、14件の犯罪を改めて振り返るだけでも、犯罪の傾向はかなり偏っていたりして、少なからず注意を向ける方向や意識を高める必要性を実感できると思います。

また今後も可能な限り情報を更新していきたいと思います。

6月11日 更新しました(16/12/15~17/06/11 計20件)

  

日本人が被害者となる犯罪の整理【サンパウロ】

直近の犯罪の統計を以下の4つの視点でまとめたいと思います。また記事の最後に事件全ての詳細をリストにして掲載致します。

  1. 犯罪の発生場所
  2. 犯罪の時間帯
  3. 犯罪の種別
  4. 被害の内容

犯罪の場所

サンパウロに住んで間もない方や旅行・出張で短期滞在している方にとって通りの名前や地区名は聞いてもどこなのか具体的には分かりません。よくガイドブックにも「○○通りに注意」とありますが、具体的にどこなのかわざわざ地図で確認される方は少ないと思います。

この投稿では被害場所(または被害の起点となったと思われる場所)をGoogleMapにマッピングしてみました。以下が当該地図になります。

色:オレンジ:窃盗、グリーン:強盗(追跡型)、青:強盗(路上突発型)、赤:強盗(車上)、ブラウン:強盗(店内)

ぱっと見て分かる通り、ほとんどが日系人街として有名なリベルダージ地区と日系企業が多く集まる中心市街地パウリスタ通り近辺であると分かります。

領事館も具体的な住所を公表しておらず、通り名のみだったりしますので、正確な位置ではありませんが、ほぼ被害地域は集中しています。

日本人が多く集まる地域であるが故にこうした地域での犯罪件数が多くなるということはあるとしても、逆に言えば裕福な日本人がどこにいるのか犯罪者も目星を付けているとも言えます。

最低限この2つの地域では十分に防犯意識を保つようにするべきでしょう。

犯罪の時間帯

日本だとよく「夜間は危ない」と子供の頃から注意されますので、夜間人通りが少ない通りは避けるというのは自然に行うかもしれません。

しかし20件の犯罪を時間帯に分けると以下のようになります。

時間 件数
0時~9時 2
9時~12時 1
12時~18時 9
18時~24時 8
20

これだけを見ると事件の大半は午後に発生しており、また日没後よりも日中の明るい時間帯の方が件数は多くなっています。実際、夏季の日没はもう少し遅い時間ですから暗くなってからの事件はさらに減ることになります。

また土日の事件1件のみです。平日は現金を持っている容姿(スーツなど)が判別しやすいのかもしれません。決して土日は被害に合わないと油断していいものではありませんが、ターゲットにされやすい時間帯として認識しておくことは大切だと思います。

犯罪の種別

日本人はどのような犯罪に巻き込まれているのでしょうか。詳細な状況は別途確認するとして簡単にまとめると以下のような状況です。

種別 件数
強盗(追跡) 6
強盗(路上) 2
強盗(車上) 5
強盗(店内) 2
強盗 計 15
窃盗 5
総計 20

ほとんどが強盗に区分される事件で、最も多いのは追跡型です。

詳細は最後のリストをご覧頂ければと思いますが、最近多く発生しているのは「両替所を出てからずっと尾行されており、人通りが少なくなってから強盗に合う」というものです。車や地下鉄で移動していてもずっと尾行されている(またはそう思われる)事件が増えているのです。

また路上強盗・車上強盗、また窃盗の一部を除いて、大半が計画犯罪であることにも留意が必要でしょう。彼らは事前に情報を集めており、また銃など装備をして犯罪を実行しています。

マニュアル通りですが、抵抗はしないようにしましょう。下手な抵抗は生命に関わるということがここでも良くわかります。

被害の内容

さて、実際に事件に巻き込まれた場合どのような被害を受けているのでしょうか。

 

No 現金類 貴重品他
1 R$約500 旅券写し
2 R$約1300  
3 R$1,576 クレジットカード、iPhone
4 約R$14,000、カード 旅券、パソコン、
5 R$500、カード、小切手 パソコン、iPad、免許証、RNE
6 R$700、カード 腕時計
7 R$4,000、100,000 パソコン、カメラ3台、腕時計3本
8 R$650 バッグ、RNE、眼鏡、カメラ、携帯電話、
9 14万円(日本円)  
10 $300及び約R$1,600、クレジットカード数枚 ラップトップパソコン1台、iPad1台、スマートフォン1台 
11 R$300、$200、小切手 身分証明書、旅券、腕時計 
12 –  腕時計 
13  – 携帯電話,電子辞書,鞄
14 財布  –
15  手提げバック、ノートパソコン、電子辞書、手帳等
16 クレジットカード、現金約900レアル  身分証明証
17  –  –
18 小切手等 手帳

とにかく現金被害額が半端ではありません。

ブラジルはクレジット社会であり、多額の現金を持ち歩く機会はほとんど無いにも関わらず、日本円にして10万円以上の被害ばかりです。

一つには両替直後の事件が多くなっていることも要因ではあり、両替直後いかに危険が多いのか良くわかります。また上述のように計画犯罪である可能性が高く、あなたが両替をしたという事実を見破られている可能性が高いです。

両替は現地のATMでキャッシングすることで現地の人々に交ざることが出来ますので、為替費用を節約する上でも、治安の上でもATMの利用をする方が良いと思います。それでもATMで羽交い締めにされて現金を奪われる事象もありますので、日中多くの人が利用する警備員のいるATMを利用しましょう。

▼ATMでのキャッシング方法はこちらをどうぞ。

海外通貨に両替なら現地銀行が便利で安い!ATMキャッシング方法を解説!
旅行にしても、長期滞在にしても現地通貨をどう持ち歩くかは大きな問題。 ブラジル旅行ぼ場合には、日本でドルに交換して、現地についてからレアルに両替する方が多いかもしれませんが、為替手数料や大金を持ち歩くリスクを考えると止めた方が良いでしょう。...

また腕時計やパソコンなども不必要に露出させないようにしましょう。日本では当たり前でも海外では高価な羨望の眼差しを受けるグッズは見せないことが重要です。

治安において何に注意するべきなのか

さて、以上のような状況を踏まえて何に注意するべきか考えたいと思います。

まず領事館が繰り返し案内している注意事項は以下の通りです。

1 常に警戒心を維持し,時折周囲に視線を向けるなど、警戒心を顕示する。
2 荷物は最小限にし、手元から離さず、貴重品は極力持ち歩かない。
3 多額の現金等貴重品を所持している時は、目的地までタクシー、車等を利用する。
4 車両の乗降は可能な限り、警備員、鉄扉等、セキュリティのしっかりとした駐車場で行う。
5 降車の際は、特に周囲を警戒し異変の察知に努める。
6 車両尾行等に気付いた場合は、ショッピングモール等人通りの多いエリアや付近の警察署等でやり過ごす。
7 万が一、強盗に遭遇した場合は絶対に抵抗せず、犯人の要求に従う。

以上は最低限注意するべきです。加えて検討したい対策は以下のようなものが考えられます。

  • 狙われないために

腕時計など必ずしも必要ない装飾は付けない。

極力使い古した洋服で歩く。

 

  • 被害に合わないようにするために

日系旅行代理店の両替は極力利用しない。

ATMは多くの人が利用している銀行で、警備員がいるところを利用する。

  • 被害額を抑えるために

 

大金を常に持ち歩かない。

所持金は分けて持ち歩く

 

 

なお、今回の記事は領事館サイト・メーリングリストを元に作成しておりますが、恐らく日本人被害の全てではありません。1月には邦人が射殺される事件なども起きていますが、サイト上にはなぜか情報が掲載されていませんでした。

ブラジルは開放的で非常に楽しい国でありますが、その思い出を楽しいものにするためには最低限の対策をきちんと講じることが重要です。

日本では当たり前の洋服や装飾は現地では目立つことも少なくありません。周りの雰囲気をしっかりと把握して、現地に対応する力も旅行者・生活者として養うように努力しましょう。

各事件別の詳細について

以下は領事館が公表している情報をリストとしてまとめたものです。どのような状況でどのような被害が発生したのか暇な時に改めて確認するようにしましょう。

5月8日(月)07時00分頃
【場所】Peixoto GomideとAv Paulistaの交差点付近
【概要】被害者が車両運転中、上記地点で信号待ちをしていたところ、賊のうち1名(20代後半~30歳くらい)に 運転席側の窓から銃を突きつけられ(窓は開いていた)指輪、時計を渡すよう要求された(もう一人の賊は 助手席側から手を差し入れた状態)。被害者は指輪を外すのに手間取っているうちに、賊が所持している 銃が模造品であると思われたところ、その後も時間稼ぎをし、信号が変わると同時に「発進する」旨告げ、 車を発進させた。後刻、助手席に置いてあったバッグの盗難に気づいた。身体的被害はなし。
【被害】手帳、小切手等

4月20日(木)18時30分頃
【場所】Rua Abilio Soares, São Paulo, SP
【概要】邦人3名がタクシーで移動中、赤信号のため交差点で停車したところ、 銃を持った賊1名(年齢10代後半から20代前半)が金品を要求してきた。 運転手は犯人のいる助手席側の窓を開け、信号が変わる直前に指輪を渡し、 車を急発進させてその場を離れた。
【被害】なし

4月6日(木)15時15分頃
【場所】Rua Virginia Ferni, Itaquera, Sao Paulo
【概要】被害者は銀行ATMで現金(年金)引き出しを行った後、上記地点において突然3人組の男から襲撃を受けた。  賊は被害者が持っていたポシェットを強奪し、そのまま逃走。被害者に身体的被害はなし。
【被害】クレジットカード、身分証明証、現金約900レアル

3月19日(日)23時15分頃
【場所】Av.Brigadeiro Luis AntonioとRua Sao Cariosdo Pinhalの交差点
【概要】被害者が友人とともに、上記地点において携帯電話のアプリを使ってタクシーを待っていたところ、後方から近づいて来た自転車の2人組に携帯電話を引ったくられた。身体的被害はなし。
【被害】携帯電話

3月18日(土)15時15分頃
【場所】グアルーリョス空港第2ターミナル
【概要】空港到着後、第2ターミナル玄関にて手配していた車両の到着を待っていた際、 荷物から少し離れた隙に、トランクとともに置いていた手提げバッグを盗まれた。
手提げバック、ノートパソコン、電子辞書、手帳等

3月15日(水)20時30分頃
【場所】Recanto Feliz, Suzano – Sao Paulo
【概要】帰宅時、車庫に駐車して玄関に向かおうとしたところ、賊2名に襲撃され、家の中に連れ込まれた。車内にいた被害者妻が隣人に助けを求めたため、賊は被害者のポシェットを奪って逃走した。被害者は賊から頭部を殴られ軽傷を負った。
【被害】外国人登録証、デジタルカメラ、現金等

3月7日(火)22時頃
【場所】Rua Conselheiro Furtado, Liberdade, Sao Paulo (Rua Tamandareとの交差点付近)
【概要】被害者3名は、車両で上記地点において信号待ちをしていたところ、突然2人組の賊が現れ、3名のうち2名に対して拳銃を突きつけた。2名が携帯と財布等を差し出したところ、賊はこれを奪って逃走。1名は被害なし。3名とも身体的被害はなし。
【被害】現金約500レアル、旅券写し等

3月2日(木)12時頃
【場所】サンパウロ市サントアマロ区ジョアン・ジアス通り
【概要】被害者が銀行ATMで現金引き出しを行っていたところ、突然後方から羽交い締めにされた。数秒の後に開放され、ATMを見たところ取り出し口にあるはずの現金がなかった。身体的被害はなし。
【被害】現金約1300レアル

2月23日(木)11時30分頃
【場所】サンパウロ市リベルダージ区ガルボン・ブエノ通り
【概要】被害者がリベルダージの旅行代理店で現金を両替し、その場(同代理店内)で現金を旅行用のウエストポーチ(衣服の内側に隠せるタイプのもの)に外から分からないように収納。その後1時間ほど周辺を散策した後、上記現場にて後方から銃を持った賊に襲われ付近のホテル駐車場に誘導された。被害者が所持していた荷物及び財布を差し出したところ、賊から腹部に隠しているものを出すよう要求されたため同ポーチの現金を差し出した。賊はそれらを奪ってバイクにて逃走。被害者に身体的被害はなし。
【被害】現金1,576レアル、クレジットカード、iPhone

2月16日(木)13時00分頃
【場所】サンパウロリベルダージ
【概要】被害者が同行者とともにリベルダージの旅行代理店で現金を両替後、目的地までタクシーで移動。途中の追尾を恐れて市内を迂回した後、高速道路を利用し市内から約70Km離れた地点の駐車場に入ったところで、車両とバイクが接近、乗っていた賊から銃を突き付けられ所持品を奪われた。身体的被害はなし。
【被害】旅券、パソコン、クレジットカード、現金約14,000レアル

2月8日(水)21時頃
【場所】サンパウロ市パライゾ区デゼンバルガドール・エリゼウ・ギリェメル通り
【概要】被害者は所用のため車両を上記路上に駐車。用を済ませて車に戻ったところ後部座席のガラスが割られており、車内においてあった鞄が盗まれていた。
【被害】パソコン、iPad、小切手、現金R$500、免許証、RNE、カード等

1月24日(火)19時00分頃
【場所】サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区ブリガデイロ・ルイス・アントニオ通り
【概要】被害者2名がコンゴーニャス空港からタクシーで市内移動中、上記現場にて渋滞のため停車した際、賊1名が徒歩で現れ、銃を突きつけた上で所持品を差し出すよう要求された。被害者両名は所持品を差し出し、賊はそれらを奪って逃走した。身体的被害はなし。
【被害】腕時計、現金R$700、カード等

1月23日(月)13:00~14:30頃
【場所】カンピーナス市カンブイ地区 
【概要】被害者が外出先から帰宅したところ、施錠していたはずの勝手口側の扉の鍵が破壊されている事に気がついた。所属企業を通じ警察に通報し、警察官とともに入室したところ、賊は既に退室した後であったが、室内が荒らされ金品の被害があることが判明した。身体的被害はなし。
【被害】現金(R$4,000、100,000)、パソコン、カメラ3台、腕時計3本

1月16日(月)13時10分頃
【場所】サンパウロ市リベルダージ区レストラン街 
【概要】被害者がリベルダージの旅行代理店で現金を両替した後、徒歩で移動。上記地点において、賊1名から銃を突きつけられバッグを奪われた。賊は別の1名が運転するバイクに乗って逃走した。
【被害】バッグ、RNE、眼鏡、カメラ、携帯電話、現金R$650等

1月10日(火)15時頃
【場所】サンパウロ市ヴィラマリアナ区ジョセ・デ・エイロス・アラニャ通り 
【概要】被害者夫婦がリベルダージの旅行代理店で現金を両替した後、地下鉄でリベルダージ駅からアナ・ローザ駅に移動、駅から徒歩で帰宅する途中、自宅付近の路上で、バイクに乗った2人組に襲われた。賊2名は銃を所持、夫を突き飛ばした上、妻から現金の入ったショルダー・バッグを奪って逃走した。
【被害】現金14万円(日本円)

1月10日(火)12時頃
【場所】サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区アラメダ・サントス通り(インターコンチネンタルホテル敷地内) 
【概要】被害者がグアルーリョス空港到着後、ホテル手配の車両でリベルダージの旅行代理店に立ち寄り、現金を両替した後、同車両でホテルに到着したところ、後方からバイク2台がホテル敷地内に侵入。乗っていた賊1名から銃を突き付けられ、他の3名に所持品を奪われた。身体的被害はなし。
【被害】現金300米ドル及び約1,600レアル、クレジットカード数枚、ラップトップパソコン1台、iPad1台、スマートフォン1台等 

1月5日(木)午後15時頃 
【場所】サンパウロ市ミランドポリス区イリース通り
【概要】リベルダージにある旅行代理店で現金を両替した後、地下鉄でリベルダージ駅からサンタ・クルーズ駅に移動、駅からタクシーに乗車し、自宅付近で下車したところ、後方から来たバイクの2人組に襲われ、所持品を奪われた。身体的被害はなし。
【被害】身分証明書、小切手、旅券、現金300レアル、2000ドル、腕時計 

12月05日(月)19時25分頃 
【場所】サンパウロ市ジャルジン・パウリスタ区アラメダ・ジョアキン・エウジェニオ・デ・リマ通り
【概要】帰宅途中、2人組の賊に銃を突きつけられ腕時計を強奪された。賊はその後財布を差し出すように要求したが、犯行を目撃した近隣住民が警察に通報したため、そのまま逃走した。
【被害】腕時計 

12月27日(火)午前7時30分頃
【場所】サンパウロ市ベラ・ビスタ区ブリガデイロ・ルイス・アントニオ大通りとペドローゾ通りの交差点付近
【概要】(1)被害者がサンパウロ市内から郊外へ車両にて向かう途中,タイヤの異常を感じたため,路肩に駐車して運転手,同乗者(1名)と被害者が降車して状況を確認したところ,左後方のタイヤに釘が刺さりパンクしていた。その後,同タイヤを交換して車両に乗り込んだところ,後部座席に置いていた鞄等がなくなっていたもの。(2)なお,被害者らが降車した際,車両のドアを閉めたもののロックをしておらず,乗車した際には,右後方のドアが半ドア状態となっていた。
【被害】携帯電話,電子辞書,鞄等

12月15日(木)19時00分頃
【場所】リベルダージ地区にある日本食レストラン
【概要】賊1人がしばらくの間店の前で様子をうかがった後、店内に入って来て、客、従業員に銃を突きつけ現金を奪って逃走。なお、同店には通常用心棒がいるが、事件発生時は、通常より出勤が遅くなり不在であったとのこと。
【被害】財布等

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