ApplePayなど電子決済サービスは途上国が美味しい市場である4つの理由

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今年ブラジルにてサムスンによる新たな電子決済サービスの提供が開始されるというニュースが飛び込んできました。

こちらがサムスンによるプレスリリース。

Samsung Electronics Co. Ltd., announced today that Brazil will roll out Samsung Pay on July 19, with major financial partners, making it the first market in South America to introduce the company’s mobile payment service.

サムスン電子は主要な金融企業と共にSamsungPayを7月17日からブラジルで開始します。モバイルペイメントサービスをリリースする南米最初の市場になります。

参照 Samsung Pay Launches in Brazil

SamsungPayはNFC技術を利用した支払いサービスです。小難しい技術の話は置いといて、今までクレジットカードを差し込み、処理を待ち、パスワードを入力して、そしてさらに処理を待って、出てきたレシートを受け取るという地味に時間のかかる作業が、携帯で端末にタッチして終わりという電子マネーと同様の使い方が可能になります。

電子マネーのように事前にチャージをする必要もなく、また電子マネーに対応している店舗のみならずクレジットカード対応店舗であればどこでも使えるというのも特徴の一つでしょうか。(当面は端末の有無により利用可否が分かれそうですが)

さて、このSamsungPayやApplePayといった電子財布サービスが世界中に拡大しているわけでして、最近ではApple Payが日本でもサービスがスタートしました。こうした新しいITサービスというのは先進国で利用されているイメージが強いですが、これからブラジルなど発展途上国かなり親和性の高いサービスとして成長するように思います。

ブラジルでの生活を見ていて、その理由を4つに分けて説明してみたいと思います。

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1.クレジット払いが超普及している

ブラジルではクレジットカードの普及率がものすごいです。小さな定食屋でもスタンド(キオスクみたいなところ)でもクレジットカードの使えない場所の方が少ないといっても過言ではありません。

また家電(ドライヤーでさえも)や携帯電話なども値札が「現金支払」と「クレジットカードによる分割払い」のダブルプライスで表記されています。とはいえ、クレジット分割払いが高いというわけではなく、単純に支払月数で等分された金額が表示されているだけだったりします。

このクレジットカード文化の一つの理由は、比較的高い経済レベルに近づきつつある発展途上国の一つの特徴として解釈できるかもしれません。

このような国では、経済が発展する中で先進国と同様のサービスや商材が入ってくるわけですが、それを購入できる余裕のある層はまだまだ少ないです。でも人間の欲しいという欲求はすごいもので、必要であると感じたらその他のことを我慢してでも購入しようとします。

これはブラジルに限らず、高度経済発展中の日本でも多くの国民が白物家電(冷蔵庫や洗濯機)を購入できるように「月賦」というシステムが発達したとされています。

現代の生活必需品とも言えるスマートホンはまさに戦後の日本における白物家電と同様であるわけです。(参考 一般社団法人日本クレジット協会

現在の最低賃金が850レアル(約27,000円)という中で、2万円も3万円もするスマートホンが街なかに溢れる理由として、クレジット払いの普及していることというのは妥当な線ではないでしょうか。

ほとんどの市民は欲しいものはたくさんあるけれど所得がまだ追いついていないため、月賦、これを現代に置き換えればクレジットカード支払いを多用するわけです。ブラジルのクレジット文化はまさにその典型例と言えそうです。

2.オンラインバンキングの普及

サムスンのプレスリリースに記載されている情報ですが、ブラジルでは現在オンラインバンキングの利用率が急上昇中です。これは2つのことを意味します。

一つは、電子端末でのバーチャルなお金の扱いに対する信頼が出来上がりつつあるということ。

もう一つはオンラインバンキングを利用する端末、すなわちパソコンやスマートホンが急速に広まっているということ。

オンラインバンキングは先進国こその文化だと思われている方もいらっしゃると思いますが、出稼ぎによる都市部から農村地への送金というのはかなり一般的で、端末の普及に合わせてオンラインバンキングも同様に一気に広がっている途上国は少なくありません、

3.セキュリティ

これは個人的には結構大きな理由です。

というのも、発展途上国ではまだまだスキミングの被害に合う可能性があるためです。

クレジットカードを通す端末に怪しいところがないか一瞬で確認するのは困難でして、気づかないうちにカード情報を盗まれている可能性があります。

これがNFCを利用してスマートホンから情報を飛ばせるようになれば、NFCのセキュリティを破らない限り、カード情報を盗むことは難しくなり、少なくとも現状よりはカード情報を盗むハードルは高くなると言われています。

4.サムスンがスマホ市場でトップを誇る

正直以上の3つの理由でも新規参入する価値は十分にありそうですが、ブラジルにおけるサムスンにとって絶対的な強みはスマートホン市場で4割近いシェアを誇ることでしょう。

携帯ショップに行けば、前面に並べられているのはiPhoneではなく、サムスンのスマートホンです。

これはブラジルに限らず、サムスンのスマートホンは先進国のみならず多くの発展途上国においてもトップシェアを誇ります。

これだけ自社端末が普及していれば、クレジットカード会社も銀行もここに参画する大きな理由になります。

現金主義の日本、クレカ文化の韓国

日本だって、おサイフケータイという言葉ずっと前から聞いていたように思います。同様の技術を使ったFelicaという端末で税務申告を行っている人も多いでしょう。

技術としては日本が出来ない問題ではないでしょう。

しかし、どうして韓国企業であるサムスンがこうした取り組みを他に先駆けて進められたかと考えると、一つの理由として韓国もまたクレジットカード文化が強い国であるということだと思います。

これまで日本ではこうした決済サービスで支払いをしている人は少なく、ようやく最近になって電子マネーでの支払いが普及してきたといったところでしょう。

一方韓国ではクレジットカードを利用することが国も含めて促進されてきました。

少し古いデータですが、一人あたりのクレジットカード使用件数では韓国は世界一だったこともあるようです。

クレジットカード文化の是非は別としても、こうしたサービスを実施する理由はどう考えても日本より韓国の方が強いですし、実感を伴ってサービス開発ができたのだと推測できます。加えて新たな市場に貪欲な韓国企業のチャレンジ精神が相まって、Appleよりもサービス展開が早いと感じます。

Apple Payサービスが提供されているのは記事執筆現在でアメリカ、イギリス、中国など14ヶ国。一方でSamsung Payはタイやロシア、マレーシアなど16ヶ国。戦略の違いが明確に出ています。

先進国の成長が緩やかなものになり、途上国での戦いが激化する中で、途上国時代の肌感覚を忘れてしまった日本はこれからどのようにスピードを持った戦いをしていけるのか静かに頭を悩ませるところです。

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